- 著者
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吉本 陽二
- 出版者
- JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
- 雑誌
- 日本理学療法学術大会
- 巻号頁・発行日
- vol.2006, pp.C0963-C0963, 2007
【目的】<BR>我々、理学療法士は痛みを主症状とする患者を担当し治療を行う。しかし、治療効果が明確に現れず、治療が難渋する場合が多くある。そこで今回、我々は、ペインクリニック外来を受診した患者に対してアンケートを行い、疼痛を主症状とする患者の痛みに関する要因を調査した。これらの結果より、痛みを主症状とした症例に対する理学療法について検討を行った。【対象】<BR>大阪府下のペインクリニック外来を受診した251名を対象とした。対象者は男性113名、女性138名であり、平均年齢は55.7 ± 17.3歳であった。疾患は腰椎椎間板ヘルニアが81名、椎間関節症、60名、筋々膜性腰痛、19名、脊椎狭窄症、20名、その他が67名であった。<BR>【方法】<BR>アンケート調査は、ペインクリニック外来初診日に以下の内容について調査を行った。痛みはvisual analog scale (VAS )と痛みの頻度と罹病期間について質問を行った。日常生活動作の障害は、Pain Disability Assessment Scaleにて調査を行い、抑うつ、不安はHospital Anxiety and Depression Scaleにて調査を行った。加えて、睡眠障害の程度についても調査を行った。統計学的解析は、Pearsonの相関係数にて相関を確認し、年齢、性別にて調整し、強制投入法による多重ロジテック回帰分析を用いて行った。<BR>【結果】<BR>Pearsonの相関係数にて罹病期間は全ての項目と相関が認められなかったが、その他の項目間では相関が認められた。特に抑うつと不安の間には強い相関(r=0.71)が認められた。次に多重ロジテック回帰分析を用いて能力障害との関連性を認めた項目は、抑うつ(オッズ比1.13、95%CI:1.04-1.22)と不安(オッズ比1.24、95%CI:1.12-1.37)であった。<BR>【考察】<BR>日常生活の能力障害に関連していた項目は抑うつ・不安であった。痛みの代表的な心理的反応である不安と抑うつは、身体活動意欲の低下につながり、日常生活動作の能力障害<BR>を増悪する可能性がある。また、能力障害は身体の活動性を低下させ、廃用性症候群を助長し痛みの増悪につながると考えられる。理学療法士として対応できる項目としては、痛みに対するアプローチの他に日常生活動作の改善を行う必要があると考えられる。<BR>【まとめ】<BR>1、ペインクリニック外来受診患者に対してアンケート調査を行い、痛みに関する要因について検討を行った。<BR>2、日常生活動作の能力障害は、抑うつ、不安と関連性があった。<BR>3、痛みを主症状とする患者の能力障害に対しては不安・抑うつへの対応が重要である。