著者
蓮見 孝 松井 彩乃
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.33-33, 2005

QOLを計る新たな尺度を開発するための基礎調査として、人が潜在的に持つと思われる「かくあるべきとする生活の質」が、どのようなイメージによって形成されているのかについて調査を行った。幸福感に満たされている状況にある人を対象に、「こうありたい」というような夢(あるべき生活の質)を表現するフリーコメントを収拾し、分析した。具体的には、2005年3月25日に行われた筑波大学卒業式において、卒業学生を対象に、「願い事プロジェクト」と称する感性的調査を企画・実施した。卒業式を終えた学生200人(男性100、女性100人)を対象に、卒業の時点で思い浮かぶ「願い事」をカードに記入させた(一人一件)。お祭り気分を阻害せず、被験者がリラックスして記入できるようにするために、学生調査員3名には、「縁屋さん」と呼ばれる仮装を施した。分析1:被験者によって記入されたカードを、KJ法的に、内容が似ていると思われるもの同士のグループに分類し「願い事マップ」を作成した。コメントの偏りを是正するため、「願い事マップ」を新入生に閲覧させ、「同感」と思われるグループにマークを付けさせるとともに、「自分の願い事」を落書き的に自由に追記させた。その結果、共感が全く得られないコメントは除外し、追記されたコメントで共感が得られたものについては、新たに「願い事マップ」に追記した。このようにして「願い事マップ」に掲載されたフリーコメントを全数点検し、そこからキーワードと思われるワードを抽出して、「キーワードリスト」を作成した。キーワードリストに掲載された全てのキーワードの相関関係を得るために、クラスター分析を行った。以上の調査研究から、「生活の質」は、「Physical activity(心身の健康度合い)」「Social communication(社会とのつながり度合い)」「Lifespan-management(人生設計における欲求の度合い)の3軸によって計れるものと判断された。

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