著者
黒瀬 一弘
出版者
環太平洋産業連関分析学会
雑誌
産業連関 (ISSN:13419803)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.60-74, 2010

ルイジ・パシネッティの構造変化モデルは,スラッファとレオンチェフの静学的モデルを基礎にしている.この2つの静学的モデルが「垂直的統合」を可能にし,新古典派に対する代替的なモデルとしてのパシネッティを基礎づけている.本稿の第1の目的は,パシネッティ による垂直的統合の概念を振り返り,構造変化モデルの概観を示すことにある.第2の目的はパシネッティ・モデルを応用した理論的及び実証的研究例を紹介することにある.それらの応用研究の多くが新古典派的モデルから導出し得ない結果を 導いている.これはパシネッティ・モデルの代替的なモデルとしての可能性を示唆している.

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