- 著者
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東 佳那子
中山 二郎
- 出版者
- JAPAN BIFIDUS FOUNDATION
- 雑誌
- 腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
- 巻号頁・発行日
- vol.29, no.3, pp.135-144, 2015
次世代シーケンサー(NGS)が登場し,自然界の複雑な微生物コミュニティーのプロファイリングが実現可能となった.100兆個100種を超える細菌がひしめく腸内フローラの研究にも今やNGSは必須のアイテムとなった.しかし,NGSは進化を続け世代交代の時期を迎えている.それにともないNGSを用いる菌叢解析のプラットフォームも変更の必要性が生じる.ここでは,これまで腸内細菌叢研究に最も多く用いられてきたロシュ社454ピロシーケンサーと,近年発展の目覚しいイルミナ社MiSeqのデータを比較検討した.また,シーケンスする16S rRNAの可変領域の検討もin silicoと実際のサンプルデータの両者を用いて行った.その結果,系統解析にはV3-V4が最も良好な結果を与えた.定量性はV6-V8が全体的に良好な結果を示したが,ユニバーサルプライマーによる一部の細菌グループに対する増幅効率のバイアスがどの領域でも見られた.しかし,UniFrac-PCoA解析にて示される菌叢の全体的な傾向はどのデータでも同様に観察され,NGSによる腸内細菌叢解析の堅牢性が示された.数あるNGSの中において,MiSeqはランニングコストや操作性という観点からも腸内細菌叢解析に適しており,今後本分野の研究に頻用されていくであろう.<br>