著者
佐藤 まみ 中山 二郎
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.95-106, 2010 (Released:2012-04-01)
参考文献数
56
被引用文献数
1 1

近年の抗生物質濫用により、薬剤耐性菌が高頻度で出現し、広く社会で問題となっている。細菌が個体間でコミュニケーションを取り、菌密度を把握しながら種々の遺伝子発現を制御する機構はクオラムセンシング (以下、QS)と呼ばれており、近年、いくつかの病原性細菌の病原因子生産がQSにより制御されている事例が多く報告されている。QSの阻害は病原因子の生産のみを特異的に抑制すると考えられるため、新規薬剤開発のターゲットとして期待されている。本稿では、特にグラム陽性細菌のペプチドクォルモンを誘導因子とするQSについて、また、その阻害剤開発の現状と将来性について解説する。
著者
中山 二郎
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.137-140, 2018 (Released:2019-02-01)
参考文献数
3
被引用文献数
1

Asia differs substantially among and within its regions populated by diverse ethnic groups with different cultures and unique diets. Asian Microbiome Project, which is a consortium research project participated by ten Asian countries, is investigating on the gut microbiome diversity which may link with these diverse diets. Thus far, we found country-specific features as well as enterotype-like global variations in the Asian microbiomes. Notably, Japanese have unique features such as less alpha- and beta-diversities, low abundance of potentially pathogenic bacteria groups and high abundance of Bifidobacterium. This may reflect unique Japanese life and dietary styles. Regarding enterotypes, majority of southeast Asian populations carry the Prevotella-type (P-type) in reflection of high consumption of rice. However, a cross-sectional study on the gut microbiota of school-age children on Leyte island in Philippines showed the enterotype-shift from P-type to Bacteroides/Bifidobacterium-type (BB-type), which associated with dietary Westernization. Another cross-sectional study on Thai children further indicated decrease of short chain fatty acid concentration in the feces of children in urban city, who consumed much less vegetables compared with children in rural city. Altogether, although Asian people have evolved their gut microbiomes in association with their unique diets, current urbanization hampers their structure and function. It warrants further studies on the impact of altered gut microbiomes on the health of Asian people.
著者
中山 二郎
出版者
公益財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.221-234, 2011 (Released:2011-11-16)
参考文献数
72

一見孤立無縁に生きているように見える単細胞生物である細菌も,細胞間でコミュニケーションをとりながら,集団として生育し,集団としてのパワーを最大限に発揮していることが分かってきた.細菌の場合は,細胞間コミュニケーションの媒体として化学物質を利用することが多い.中でもよく研究されているのが,クオラムセンシングと呼ばれる現象で,同種菌の生産するシグナル物質“オートインデューサー”の菌体外濃度を感知することで,同種菌の菌密度を感知し,それに合わせて,さまざまな遺伝子の発現をコントロールするというものである.本稿では,このような細菌の細胞間ケミカルコミュニケーションの分子機構について,グラム陰性菌からグラム陽性菌までその知るところを概略し,紹介する.
著者
是則 有希 Jiahui Jiang 中山 二郎
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.24-34, 2012-03-15 (Released:2015-01-06)
参考文献数
15
被引用文献数
1

16S rRNA遺伝子配列解析に基づくピロシークェンス法は、腸内細菌叢の群集構造をシークェンスレベルでプロファイル化できる点で非常に有用である。この系では、細菌の16S rRNA遺伝子を網羅的かつ偏りなく増幅させ、かつその断片から有効的に系統分類情報が得られるユニバーサルプライマーと、得られたバッチシークェンスデータを菌叢データに忠実に変換するアルゴリズムの設計が重要である。本稿では、その現状と問題点を中心に議論する。
著者
東 佳那子 中山 二郎
出版者
公益財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.135-144, 2015 (Released:2015-08-01)
参考文献数
16

次世代シーケンサー(NGS)が登場し,自然界の複雑な微生物コミュニティーのプロファイリングが実現可能となった.100兆個100種を超える細菌がひしめく腸内フローラの研究にも今やNGSは必須のアイテムとなった.しかし,NGSは進化を続け世代交代の時期を迎えている.それにともないNGSを用いる菌叢解析のプラットフォームも変更の必要性が生じる.ここでは,これまで腸内細菌叢研究に最も多く用いられてきたロシュ社454ピロシーケンサーと,近年発展の目覚しいイルミナ社MiSeqのデータを比較検討した.また,シーケンスする16S rRNAの可変領域の検討もin silicoと実際のサンプルデータの両者を用いて行った.その結果,系統解析にはV3-V4が最も良好な結果を与えた.定量性はV6-V8が全体的に良好な結果を示したが,ユニバーサルプライマーによる一部の細菌グループに対する増幅効率のバイアスがどの領域でも見られた.しかし,UniFrac-PCoA解析にて示される菌叢の全体的な傾向はどのデータでも同様に観察され,NGSによる腸内細菌叢解析の堅牢性が示された.数あるNGSの中において,MiSeqはランニングコストや操作性という観点からも腸内細菌叢解析に適しており,今後本分野の研究に頻用されていくであろう.
著者
小野 浩 中山 二郎
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.3-12, 2014-03-17 (Released:2015-07-02)
参考文献数
30

発酵食品中には乳酸菌をはじめとする様々な細菌類が存在していることが知られている。近年、次世代シーケンサーを用いた菌叢解析法が発酵食品の細菌叢解析にも利用されるようになり、これまで見ることができなかったフローラの深部に焦点を当てることが可能となってきた。本稿では著者らの糠床の菌叢解析の研究を中心にピロタグ法を用いた発酵食品の細菌叢解析の有効性について述べる。
著者
東 佳那子 中山 二郎
出版者
JAPAN BIFIDUS FOUNDATION
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.135-144, 2015

次世代シーケンサー(NGS)が登場し,自然界の複雑な微生物コミュニティーのプロファイリングが実現可能となった.100兆個100種を超える細菌がひしめく腸内フローラの研究にも今やNGSは必須のアイテムとなった.しかし,NGSは進化を続け世代交代の時期を迎えている.それにともないNGSを用いる菌叢解析のプラットフォームも変更の必要性が生じる.ここでは,これまで腸内細菌叢研究に最も多く用いられてきたロシュ社454ピロシーケンサーと,近年発展の目覚しいイルミナ社MiSeqのデータを比較検討した.また,シーケンスする16S rRNAの可変領域の検討もin silicoと実際のサンプルデータの両者を用いて行った.その結果,系統解析にはV3-V4が最も良好な結果を与えた.定量性はV6-V8が全体的に良好な結果を示したが,ユニバーサルプライマーによる一部の細菌グループに対する増幅効率のバイアスがどの領域でも見られた.しかし,UniFrac-PCoA解析にて示される菌叢の全体的な傾向はどのデータでも同様に観察され,NGSによる腸内細菌叢解析の堅牢性が示された.数あるNGSの中において,MiSeqはランニングコストや操作性という観点からも腸内細菌叢解析に適しており,今後本分野の研究に頻用されていくであろう.<br>