著者
宇野 宏司 高田 知紀 辻本 剛三 柿木 哲哉
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_1603-I_1608, 2015
被引用文献数
3

古くから熊野信仰やお伊勢参りで知られる紀伊半島には多くの神社が鎮座している.太平洋に面する本半島沿岸は,2012年に公表された内閣府による南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)で甚大な被害が出ると予想されており,限られた平野部に拓かれた集落における避難場所の確保が重要な課題のひとつになっている.本研究では,本半島沿岸1km圏内に鎮座する神社の空間配置の諸情報(緯度経度・標高)と内閣府による津波被害の想定結果を用いて,将来の南海トラフ地震時における神社の津波被災リスクについて検証した.その結果,境内が直接被災するのは2割程度に留まるが,こうした神社の多くは浸水深が1mを超え,避難場所には適さないことがわかった.祭神別では,伊勢神宮の主祭神である天照大神とその周辺の神々で津波被災リスクは低くなっていることが明らかにされた.

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