著者
鈴木 眞一
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
内分泌甲状腺外会誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.219, 2015

内分泌外科領域では,甲状腺,副甲状腺についで副腎が重要な臓器であり,構成医師の中でも内分泌外科医に次いで多いのが泌尿器科医である。ややもすると甲状腺に偏りやすい本学会誌ではあるが,副腎の最新知見は読者にとって欠かせないものと考える。本特集は,2015年5月28日,29日に福島市で開催された第27回日本内分泌外科学会においてシンポジウム2「副腎皮質腫瘍の診断と治療」,ワークショップ3「副腎皮質腫瘍・褐色細胞腫 パラガングリオーマの診断と治療」で発表をいただいた先生方から,大会会長として推薦し依頼したものである。馬越洋宜先生と西川哲男先生(中井一貴先生)には副腎静脈サンプリングについて執筆いただいた。特に馬越先生には多施設データベースの構築とその臨床的意義につき,西川先生には副腎腺腫の部分切除が可能となる超選択的副腎静脈サンプリング法につき詳述いただいた。西本紘嗣郎先生にはアルドステロン産生腺腫発生母地の解明の鍵としてアルドステロン合成酵素免疫染色と次世代シークエンサーでの最新の知見を執筆していただいた。関敏郎先生にはクッシング症候群の術前診断と術後管理につきあらためて解説いただいた。特別講演も賜った笹野公伸先生(山﨑有人先生)には副腎皮質癌の治療標的因子につき執筆いただいた。皮質腫瘍関連が多い中で,この領域の第一人者である成瀬光栄先生に,ご自身を中心にまとめられた褐色細胞腫 パラガングリオーマの診療ガイドラインにつき解説いただいた。いずれも本邦の副腎領域のエキスパートからの珠玉の稿であり,内分泌外科医にとっては垂涎の特集と思う。また普段は全く副腎に接しない,甲状腺外科とくに甲状腺副甲状腺のみの領域の先生方にも専門医の知識として,また試験対策としても絶好の特集といえ,1人でも多くの先生方に一読いただければ幸いである。

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