- 著者
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平田 耕造
- 出版者
- 日本生気象学会
- 雑誌
- 日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.1, pp.3-12, 2016
本研究は熱負荷時に手から還流する皮静脈血流が,どの程度前腕からの蒸散性(E)及び非蒸散性(R+C)熱放散量に影響するか明らかにすることを目的とした.両腕は,一側ずつ手血流量と手からの還流静脈血を手首のカフ加圧(250 mmHg)により 30 分間遮断する加圧側としない対照側とした.食道温が 0.82℃上昇する間,手の血管拡張後,対照側の前腕皮膚温は 3.2℃上昇したが,加圧側では上昇が認められなかった.これに伴って,対照側の前腕発汗量は 0.21 units まで増加したが,加圧側では 0.13 units に留まった.これらの結果から,手の血管拡張による AVA 血流量の増加は,前腕の発汗量増加と皮膚温の上昇による熱放散量亢進に著しく寄与することが判明した.