著者
菊地 紫乃
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.162-171, 2014

本研究では,幼児が2つの物語を比較することで,その構造を抽出し,物語と類似した方法で問題解決をできるのか検討した。5歳前半児と5歳後半児を対象に問題解決の物語を提示し,その後,道具を使って解決する課題を解かせた。物語と課題は解決方法において類似しており,類推によって解くことができた。2つ物語を与える場合,教示によって物語の比較を促す群とそうでない群を設けた。実験の結果,5歳後半児は物語の比較を促されなくても,自発的に類推によって解決ができると示された。一方,5歳前半児は,自発的に類推によって解決することが難しく,大人によって物語の比較を促されることで類推による解決ができるようになると示された。年齢に伴って,物語と課題に共通する構造に気がつくようになることも明らかにされた。幼児においても類推による問題解決を行うことができ,5歳後半以降に自発的に構造に基づいて類推による解決ができるようになると言える。さらに,物語と課題の間の構造の類似性に気づくほど類推による解決が可能であった。構造の抽出ができるほど構造に基づく問題解決もできるという関連が示唆された。

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