著者
高比良 雅之
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.110-117, 2016

IgG4関連眼疾患(IgG4-related ophthalmic disease)の概念は,2004年のIgG4関連Mikulicz病の報告に始まった.その病変は涙腺の他に三叉神経周囲,外眼筋にも好発する.IgG4関連眼疾患の最も重要な鑑別疾患はMALTリンパ腫であり,両者はときに併発するので注意すべきである.IgG4関連眼疾患の病変において最も重視すべきは視神経症の併発である.過去の報告や自験例などからは,IgG4関連眼疾患のおよそ1割で視神経症を来すと考えられる.罹患側の光覚消失までに至った重症例も経験した.ステロイド全身投与を導入しない症例でも,血清IgG4が高値の症例では視神経症の発症に留意すべきである.またIgG4関連視神経症の初期では緑内障として加療される可能性もあり,注意を喚起したい.視神経症の視機能はある程度はステロイド治療に反応するが,その回復には限界があるので,早期の治療導入が望ましい.

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