著者
菊地 眞
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.S122_01, 2015

公的資金投入が消滅しても民間企業活動として自立・持続的に発展可能となるネットワーク構築が究極目標になる。自立要因が、研究~開発~上市の過程における資金調達であるならば、資金供給・調達を適時・適切に実現するような社会的インフラ構築も一義的要件となる。金融機関の医療機器開発に関する「正しい評価判定(目利き)機能」が不可欠だが、極めて未熟である状況を今後どのように改善していくのか具体的方策も必要となる。そもそも産業界の基本姿勢として、医療機器開発に「極めてリスクの高い開発対象」、「市場規模の狭さ」、「利益回収の不確かさ」、「医療界・医療人との交流機会の欠如」など様々なネガティブ要因が存在するのであれば、決定的因子に関して行政レベルから規制緩和や環境変化促進策などの課題として取り上げて具体的解決策を講じる必要がある。医療機器関連企業トップの経営マインドの偏り、企業内における新規開発意欲不足、能力不足、人材不足、海外展開経験不足など様々な要因が存在していると思われることから、それらの潜在的弱点も支援ネットワーク強化で果たして打破出来るのかも検討すべき事柄と考える。医師・医療スタッフの医療機器開発に対するモチベーションが高くなかったことがわが国の治療系機器開発が世界から後れを取ったことから、医学会をはじめとする医療関係者を如何にしてネットワークに取り込んでいくのかも検討しなければならない。

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