著者
桜田 恵里 土山 博美 大信田 系裕
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.43, pp.P-137, 2016

<i>umu</i>テストはDNA修復におけるSOS反応を指標とした遺伝毒性評価法であり、その原理から幅広い遺伝毒性物質の検出に用いられている。Ames試験と比較して所要時間も短く、少量の被験物質で実施可能であり、遺伝毒性の簡便かつ迅速な評価法として有用である。しかしながら、従来の吸光度測定法では反応系内で析出物が生じる場合、析出物によって吸光度測定が妨害され判定が困難となる。<br>この問題を克服するため、SOS反応の評価に蛍光基質フルオレセイン-β-D-ガラクトピラノシド(FDP)を用いることにより、析出物の影響をほとんど受けずにSOS反応を感度良く検出できることが確認された(第41回年会)。<br>今回評価精度向上を目的として、被験物質による菌の生育阻害を評価するため、テスト菌の生菌数の指標を発光強度とし、SOS反応の指標を蛍光強度とする組合せ評価法(発光-蛍光法)を検討した。テスト菌を被験物質存在下で37°C、2時間インキュベートした後、発光試薬(BacTiter-Glo®、Promega社)および蛍光試薬FDG(SensoLyte®、Anaspec社)を添加し、発光強度および蛍光強度を測定した。判定は、蛍光強度測定値(SOS反応)を発光強度測定値(生菌数)で除した値、補正変異原性指標 relative β-galactosidase activity(RGA)を用いて行った。本評価系において複数の化学物質を評価した結果、吸光度に変化を生じる析出物が存在しても発光強度および蛍光強度にはほとんど影響がないことが示された。以上の結果から、本評価系は、析出物の存在下でも精度良く<i>umu</i>テスト評価ができることが確認された。

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