著者
煙山 千尋
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.174-178, 2016

目的:メンタルヘルスを向上・維持することは必須であり,それを考慮した研究は重要である.本稿では,第22回IUHPE世界会議における,メンタルヘルスに関連する発表や議論に焦点を当て,各報告の概要と特徴について,学会大会での報告,抄録の内容や関連資料から概観した.<br>内容:健康行動に影響する心理的変数としてメンタルヘルスを用いた研究が多く発表された.具体的には,メンタルヘルスとヘルスケアサービスの利用,食行動,運動の実践などの健康行動との関連性が認められた.中でも,ヒスパニック系男性カップルを対象とした調査は貴重である.さらに対象は,幅広い特性を持つ幅広い年齢層に渡っていた.そして,メンタルヘルスの不良は,喫煙,不適切な性行動,自殺,退学,身体不活動,不規則な食行動,薬物利用など,多くの不適応行動や不健康行動と関連していた.反対に,良好なメンタルヘルスは,身体活動の増進や望ましい生活習慣の獲得など,健康行動や適応的な行動との関連が大きいことも報告されていた.<br>結論:今後,日本においても,心理職と他の職種とが連携しながら活動領域を広げ,その活動の一環としてメンタルヘルスの維持増進に関する研究を推進することが重要である.メンタルヘルスの概念は幅広い意味を含んでいる.社会環境や社会状況も変化している.人の心理を適切に捉えるためにも,慎重にメンタルヘルスの内容を吟味する必要がある.

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