14 0 0 0 OA 座位行動の科学

著者
岡 浩一朗 杉山 岳巳 井上 茂 柴田 愛 石井 香織 OWEN Neville
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.142-153, 2013 (Released:2014-06-11)
参考文献数
62
被引用文献数
6

背景:現代社会では,移動や職場,自宅などの様々な生活場面において長時間の座位行動が蔓延している.日常生活における座位時間の多寡が,心血管代謝性疾患のバイオマーカーや2型糖尿病,ある種のがん,早世のような健康アウトカムと関連があるという証拠が急速に蓄積されつつある.重要なのは,これらの関連が身体活動に費やす時間の影響を調整した後でも認められることである.本稿では,成人を対象にした座位行動研究に関する今後の方向性を明らかにするため,近年の研究動向を行動疫学の枠組みを応用することによって概観した.内容:このレビューには,座位行動(座り過ぎ)と健康リスク指標との関連についてのエビデンス,自己報告および機器を用いた座位行動の測度,鍵となる座位行動の分布およびトレンド,座位行動のエコロジカルモデルおよび環境的関連要因,座位時間を減らすための介入の有効性,座位時間を減らすことや中断することに関する公衆衛生勧告の概要を含めた.結論:今後行うべき座位行動研究として,座位時間が健康アウトカムに及ぼす影響を明確に理解するための機器を活用した測度による地域住民を対象にした前向き研究,様々な行動場面における長時間にわたる座位行動の多水準の決定要因を解明するための前向き研究,自宅や職場,移動環境における座位行動を減少および中断させる更なる介入研究,日常生活において座位時間を減らすことに関するメッセージを広めるためのトランスレーショナルリサーチ(マスメディアキャンペーンなど),発症機序および量反応関係を解明するための実験研究などが挙げられる.
著者
小澤 啓子 鈴木 亜紀子 髙泉 佳苗 岩部 万衣子 松木 宏美 赤松 利恵 岸田 恵津
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.205-216, 2016 (Released:2016-11-30)
参考文献数
29

目的:夜遅い食事と肥満との関連を把握すること.方法:PubMedおよびCINAHLデータベースを用いて,検索式には「食事」,「夜・時間」,「食行動」,「肥満・MetS」を示すキーワードを組み合わせ,2005年以降10年間に英語で報告された論文を検索した.596件の表題と抄録を精査し,本研究の採択基準(①原著,資料や短報など,②健常な幼児以上のヒト,③「夜遅い食事」か「夜食」を含む,④「肥満」か「MetS」を含む,⑤基礎研究でない)を満たさない535件を除外した.さらに本文を精読し,最終的に11件の論文を採択した.結果:採択論文は,縦断研究が2件,横断研究が7件,介入研究が2件であった.研究対象者は,成人のみ対象が10件,成人と子ども対象が1件であった.5件で夜遅い食事(夜食含む)を摂取する者は,肥満(body mass index: BMI 30 kg/m2以上)の割合が高い,BMI値が高い,もしくは体重増加量が有意に多い結果であった.その一方,残り6件のうち5件は,夜遅い食事(夜食含む)と肥満(体脂肪率などの体組成を含む)との関連はなく,他の1件は,夜遅い食事を摂取する者は,摂取しない者よりもMetSのリスクが有意に低かった.結論:夜遅い食事と肥満との間に正の関連,負の関連を示すもの,関連を示さないものが混在しており,一貫した結果がみられなかった.その理由として,交絡因子としてエネルギー摂取量調整の有無が関わっている可能性がある.
著者
新保 みさ 福岡 景奈 赤松 利恵
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.12-20, 2017 (Released:2017-02-28)
参考文献数
15
被引用文献数
3

目的:小学校の学級担任を対象に,学級担任が給食指導で参考にしていることを調べ,栄養教諭・学校栄養職員と相談している者の特徴を検討することを目的とした.方法:2014年7月,埼玉県A市の教育委員会を通して,市立小学校全32校の学級担任569名に横断的な質問紙調査を行った.調査項目は,給食指導を行う上で参考にしていること,給食指導で行っている取り組み,給食の喫食時間,学級全体の残菜量,属性であった.結果:解析対象者は456名で,男性143名(31.4%),平均教員経験年数(標準偏差)13.5(12.5)年だった.給食指導を行う上で参考にしていることのうち,選択した者が多かった上位3つの選択肢は「自分自身が家庭で受けた教育」(272名,59.6%),「自分自身が小学校のときに受けた給食指導」(208名,45.6%),「栄養教諭・学校栄養職員と相談」(172名,37.7%)だった.「栄養教諭・学校栄養職員と相談」を選択した者はしなかった者と比較して,女性,給食に関する校務分掌経験がある者,給食が自校式の者が多く,給食指導での取り組み個数が多かった.結論:学級担任は,自分自身が家庭や小学校で受けた教育を参考に給食指導をしている者が多かった.栄養教諭・学校栄養職員と相談している者は4割程度で,給食に関する校務分掌経験がある者や給食が自校式の者などの栄養教諭・学校栄養職員と関わる機会のある者が多かった.
著者
柴沼 晃
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.50-55, 2015 (Released:2015-02-27)
参考文献数
21

背景:平均的な健康水準が改善しているにも関わらず,人々の間には依然として健康格差が存在する.健康格差をもたらす要因には,政策や制度により解消しうるものとしえないものがある.「健康の社会的決定要因」は,人々の健康が,政治や社会,経済的に「本来であれば解消しうる要因」によって強く影響を受けるとの捉え方をする.本稿では,健康の社会的決定要因のうち,政治に関連する要因に着目した「健康の政治的決定要因」について紹介する.内容:健康の政治的決定要因の定義は論者により異なる.多くの論者は,政府やその他のプレイヤーの能力や政治的意思の欠如,利害対立に着目し,それが健康格差を解消できない原因の一端であるとしている.健康の政治的決定要因に関する研究には,国際保健におけるプレイヤー間の力学やガバナンスに着目した議論もあれば,各国における政治体制の違いや政策の優劣に関する議論もある.前者の例として,国際保健における新たなプレイヤーの参画と健康格差解消への役割に関する研究がある.後者には,政治体制の移行と健康格差に関する研究がある.結論:健康の政治的決定要因は,経験的には知られている一方,学術的には比較的新しい概念である.異なる視点をもつ研究者が研究を蓄積し,相互に批判を行うことで,健康と政治との関連について明らかにされていくことが期待される.
著者
小島 唯 福岡 景奈 赤松 利恵
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.216-224, 2014 (Released:2015-01-13)
参考文献数
17

目的:学校栄養士における,「赤黄緑の3色食品群」を用いた食品分類について,学校栄養士が普段用いている分類と栄養士自身が正しいと考える分類の相違点を特定し,さらに各群に含まれる栄養素の認識の相違点を知ることを目的とした.方法:2012年5~10月,東京都および愛知県の学校栄養士442人を対象に,無記名自記式横断的質問紙調査を実施した.調査内容は,属性の他,赤黄緑の3色食品群を用いた食品の分類,赤黄緑各群の定義,栄養素の赤黄緑3群への分類をたずねた.食品の分類では,21の食品について普段学校給食等で用いる分類と,栄養士自身が正しいと考える分類を,赤黄緑の3群からそれぞれ選択させた.また,両者の回答の一致率を算出した.結果:237人から回答を得た(有効回答率53.6%).栄養士が普段用いている分類と,自身が正しいと考える分類との回答の一致率(%)が高かった食品は,大豆99.5%,きのこ類99.0%,緑豆もやし98.0%であり,一致率が低かった食品は,こんにゃく57.5%,わかめ67.7%,こんぶ69.1%であった.例えばこんにゃくでは,普段用いている分類と,正しいと考える分類の回答が赤群で一致した者(一致率(%))2人(1.0%),黄群で一致した者27人(14.0%),緑群で一致した者82人(42.5%)であり,栄養士間でも回答に違いがみられた.結論:赤黄緑の3色食品群は,栄養士が普段用いる分類と正しいと考える分類に相違がみられ,また栄養士によっても分類の認識が異なる食品があった.赤黄緑の3色食品群には分類の根拠となる,量的指標が求められる.
著者
阿部 智美 相田 潤 伊藤 奏 北田 志郎 江角 伸吾 坪谷 透 松山 祐輔 佐藤 遊洋 五十嵐 彩夏 小坂 健
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.143-152, 2019-05-31 (Released:2019-05-31)
参考文献数
32

目的:医療系大学生の社会関係資本及び社会的スキルの精神的健康に対する関連について検討することを目的とした.方法:質問紙調査による横断研究を行った.医療系大学生648名を対象に質問紙を配布し,回収された質問紙の有効回答414名を分析対象とした.分析は,属性(学校,性別,学年,同居形態,親の学歴),社会関係資本(認知的社会関係資本,構造的社会関係資本),社会的スキルを独立変数,対数変換した精神的健康度を従属変数として重回帰分析を行った.結果:重回帰分析から,学校の認知的社会関係資本(β=-0.13, P=0.02),友人・知人との集まり「週に数回」(β=-0.15, P=0.045),社会的スキル(β=-0.24, P<0.01)が精神的健康度の高さに関連していた.反対に,グループ学習「年に数回」(β=0.20, P<0.01),「月に数回」(β=0.15, P=0.01),「週に数回」(β=0.11, P=0.04)が精神的健康度の低さに関連していた.結論:医療系大学生の高い認知的社会関係資本及び社会的スキルのスコアはより高い精神的健康と関連していた.これらの関連については,さらに検討が必要である.
著者
中村 正和 増居 志津子 萩本 明子 西尾 素子 阪本 康子 大島 明
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.180-194, 2017-08-31 (Released:2017-09-07)
参考文献数
19

目的:eラーニングを活用した,実践的な知識とスキルの習得を目指した禁煙支援・治療のための指導者トレーニングの有用性を評価し,今後の指導者トレーニングの方向性を検討するための基礎資料を得ることを目的とした.方法:トレーニングプログラムは,禁煙治療版,禁煙治療導入版,禁煙支援版の3種類である.解析対象は2010~13年に学習を修了した1,526名である.プロセス評価のため,学習後,プログラムに対する興味,学習の難易度等について質問した.前後比較デザインを用いて,禁煙支援・治療に関する知識,態度,自信,行動の学習前後の変化を調べた.トレーニングによって修了者間の成績差が縮小するか,格差指標を用いて検討した.結果:プロセス評価において,修了者の評価は概ね良好であった.3プログラムとも知識,態度,自信のほか,行動の一部が有意に改善した.トレーニング前のスコアで3群に分類し変化をみたところ,知識,態度,自信,行動のいずれにおいても,低群での改善が他の群に比べて大きかった.修了者のトレーニング前の各評価指標の格差はトレーニング後,すべての指標において縮小した.結論:実践的な内容を取り入れたeラーニングを活用した指導者トレーニングプログラムを評価した結果,修了者の知識,態度,自信のほか,行動の一部が改善するだけでなく,修了者間の成績差が縮小し,指導者トレーニングとして有用であることが示唆された.
著者
嘉瀬 貴祥 上野 雄己 大石 和男
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.195-203, 2017-08-31 (Released:2017-09-07)
参考文献数
20
被引用文献数
1

目的:心身の健康と関連するパーソナリティの類型について,質問紙で測定されたBig Fiveの得点を用いたクラスタ分析により,パーソナリティ・プロトタイプと呼ばれる3つの類型(レジリエント型,統制過剰型,統制不全型)が国外の研究で抽出されている.本研究では,大学生(大学,専門学校,短期大学,大学院に在籍する学生)を対象とした調査のデータにおいても,パーソナリティ・プロトタイプが認められるか否か検討することを目的とした.加えて,それぞれの類型に該当する者の精神的健康の状態が,先行研究の報告を支持するか否か確認した.方法:株式会社クロス・マーケティングの調査モニターである大学生の400名を対象として,2016年5月に横断的なweb調査を実施した.調査内容はBig Fiveに基づくパーソナリティと精神的健康についてであった.この調査より得られたデータを,Ward法による階層的クラスタ分析,標準得点の算出,一要因分散分析を用いて分析した.次に,算出された標準得点を先行研究の結果と比較した.結果:階層的クラスタ分析の結果,レジリエント型,統制過剰型,統制不全型,識別不能型という4つのクラスタが得られた.さらに一要因分散分析の結果,レジリエント型と識別不能型は統制過剰型より精神的健康が高いという傾向が認められた.結論:本研究の結果から,諸外国の先行研究で見出されていたパーソナリティ・プロトタイプに相当するクラスタが,大学生においても存在することが示唆された.また,それぞれの類型に該当する者の精神的健康の状態は,先行研究の報告を支持するものであった.
著者
岩部 万衣子 小澤 啓子 松木 宏美 髙泉 佳苗 鈴木 亜紀子 赤松 利恵 岸田 恵津
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.151-167, 2017-08-31 (Released:2017-09-07)
参考文献数
32

目的:夜遅い食事及び夜食と肥満との関連を成人と子どもに分けて把握すること.方法:医学中央雑誌及びCiNiiを用いて,2005年以降の10年間に報告された論文を検索した.検索式には「夜遅い食事・夜食」と「肥満・MetS」を示す検索語を用いた.本研究の除外基準に基づき314件の表題と抄録を精査し234件を除外し,次に採択基準に基づき本文を精査して21件の論文を採択した.結果:21件中,縦断研究1件,横断研究18件,両方を含めたもの1件,介入研究1件であった.研究対象者は成人が15件,子どもが6件であった.成人では夜遅い食事を12件が調査し,7件で夜遅い食事の摂取者に肥満が多い等の正の関連があり,2件で性別等により肥満との関連の有無が異なり,3件で関連がなかった.夜食は10件で調査され,4件で夜食の摂取者に肥満が多く,3件で性別等により肥満との関連の有無が異なり,3件で関連がなかった.一方,子どもでは夜遅い食事の調査は1件と限られ,肥満との関連はなかった.夜食は6件で調査され,3件で関連なし,2件でBMIの高い者で夜食の割合が低く,1件で夜食の摂取者に肥満が多かった.結論:成人では夜遅い食事が肥満と正の関連を示し,子どもでは夜食が肥満と関連しないか負の関連を示した報告が多かった.しかし,多くは横断研究であり,交絡因子を調整した報告も少なかった.
著者
大塚 脩斗 坪井 大和 村田 峻輔 澤 龍一 斎藤 貴 中村 凌 伊佐 常紀 海老名 葵 近藤 有希 鳥澤 幸太郎 福田 章真 小野 玲
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.3-11, 2017 (Released:2017-02-28)
参考文献数
37

目的:地域在住高齢者における包括的に評価されたヘルスリテラシーと健康関連Quality of Life(以下,QOL)との関連について検討すること.方法:本横断研究の対象者は,65歳以上の地域在住高齢者330名(73.8(SD 5.5)歳,女性226名)とした.ヘルスリテラシーの評価には14-item Health Literacy Scale(以下,HLS-14)を用い,総得点と機能的,伝達的,批判的ヘルスリテラシーの各下位分類得点を算出した.健康関連QOLの評価には12-Item Short Form Health Surveyを用い,Physical Component Summary(以下,PCS),Mental Component Summary(以下,MCS)を算出した.単変量解析では,PCSおよびMCSとHLS-14の総得点および各下位分類の相関についてSpearmanの順位相関係数を用いて検討した.重回帰分析では,従属変数をPCSおよびMCS,独立変数をHLS-14の総得点および各下位分類とし,共変数を投入したモデルを作成した.結果:単変量解析の結果,以下の関係において有意な相関が示された.1)PCSと機能的ヘルスリテラシー(相関係数 rs=0.21,p<0.01),2)MCSと総得点(rs=0.14,p=0.01),3)MCSと機能的ヘルスリテラシー(rs=0.22,p<0.01),4)MCSと伝達的ヘルスリテラシー(rs=0.14,p=0.01).重回帰分析の結果,PCSおよびMCSと機能的ヘルスリテラシーにおいてのみ独立して有意な関連が認められた(PCS:標準β=0.20,p<0.01,MCS:標準β=0.13,p=0.02).結論:本研究では,機能的ヘルスリテラシーと健康関連QOLにおいて独立して有意な関連が示され,健康関連QOLの向上のためには,高齢者に対する健康関連情報の提供方法を工夫することが重要であると示唆された.
著者
戸ヶ里 泰典 福田 吉治 助友 裕子 神馬 征峰
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.329-341, 2018-11-30 (Released:2018-11-30)
参考文献数
60

目的:健康教育学・ヘルスプロモーション領域において,介入プログラムを開発するうえで健康行動理論・モデルに基づくことが重要とされている.しかし数ある理論・モデルについて意図的にその整理を試みた報告は十分にない.そこで当該領域における理論・モデルを系統的,歴史的に整理することを本報告の目的とした.方法:健康教育・ヘルスプロモーション領域において,国内外6つの健康行動理論・モデルを扱っている定評のある文献を参考に,著者間での議論を通じて理論・モデルを抽出した.これらは,Glanzらの整理に沿って,個人,個人間,集団・マルチレベルの3つの枠組みで分類し,歴史的な変遷を図示化した.結果:個人の理論・モデルは期待価値理論を基礎とした連続性モデルと時間軸を含み行動へのプロセスをモデル化したステージモデルとに区分して分類した.個人間レベルの理論・モデルについては,社会的認知理論,ストレスと健康生成論,社会関係,健康・医療とコミュニケーションの4つの系譜に分けて整理を行った.集団・マルチレベルの理論についてはコミュニティエンゲージメント,問題解決型アプローチ,戦略立案型アプローチの3つの系譜に分けて整理した.結論:個人,個人間,集団・マルチレベルの3つの枠組みで主要行動理論・モデルについて整理し下位水準の分類まで明らかにした.また理論の系統的発展を体系的に記述することができた.本研究を通じて理論・モデル各々の特徴の理解をより深めることが可能となった.
著者
山下 留理子 荒木田 美香子
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.39-49, 2014 (Released:2015-01-13)
参考文献数
25
被引用文献数
2

目的:特定保健指導における保健指導の技術の経験,自信,修得意思について,保健師と管理栄養士で相違を明らかにし,両職種の技術の向上につながる研修への示唆を得ることである.方法:全国の自治体及び保健指導実施機関で保健指導に従事する保健師,管理栄養士(1,758人)を対象に横断調査を実施した.49項目の保健指導の技術の経験,自信,修得意思の程度と研修の参加状況等について,郵送による無記名自記式質問紙調査で尋ねた.有効回答率は40.8%で保健師503人,管理栄養士215人を分析対象とした.技術項目ごとにMann-WhitneyのU検定,χ2 検定,t検定を用いて,職種間で比較検討をした.結果:管理栄養士の方が「経験が少ない」と回答した割合が高かったものは,49項目のうち20項目あった.「健診・保健指導事業の企画・立案・評価技術」の領域で,すべての技術において経験が少なかった.保健師の方が「自信なし」と回答した割合が高かったのは,「栄養学および食事摂取基準,関連学会ガイドラインの食事療法を理解して活用する」等16項目であった.また,保健師の方が「経験は多いが自信なし」と回答した割合が高かった技術は19項目あった(p<0.05).結論:保健師と管理栄養士の保健指導の技術において,経験,自信,修得意思に職種間の相違がみられた.また,保健師の方が経験は多いが自信がないと回答した技術項目が多かった.
著者
村山 伸子 米山 けい子
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.21-38, 2017 (Released:2017-02-28)
参考文献数
25

目的:「フードバンクこども支援プロジェクト」の目的は,子どもがいる生活困窮世帯に対して夏休みに集中した食料支援を行うことにより,夏休み期間の欠食の防止や食費,光熱水費の増加による家計への負担を軽減することである.また,食料支援をとおして,生活困窮者の生活上のニーズを把握することである.事業/活動内容:このプロジェクトは,2015年8月にフードバンク山梨が食のセーフティネット事業として実施した.自治体や学校からの紹介を含め食料支援を希望した127世帯に,米や菓子等を約 11 kg箱詰めにして,毎週1回計5回配送した.プロジェクトの評価は,新しく支援をすることになった104世帯を対象に,質問票を配布した.事業/活動評価:61世帯から回答を得た.プロジェクト前後で,子どもの摂取頻度が増加した項目は,3食食べる,ご飯,めん,肉や魚(生鮮・加工品),卵,野菜,牛乳・乳製品で,減少したのは外食であった.食費は,米・パン・めんの支出が有意に減少した.生活上のニーズとして,食事・栄養,経済,健康・医療等があげられ,就学援助金(給食費・医療費)等の公的支援の認知度が低いことも課題として把握された.今後の課題:夏休み期間の食料支援は,子どもの食事や家計に有益であること,NPOが学校や行政と連携することにより,必要な人に支援がつながることが示唆され,活動のスケールアップが課題である.
著者
佐見 由紀子 植田 誠治
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.269-279, 2017-11-30 (Released:2017-11-30)
参考文献数
14

目的:中学校で取り上げる市販薬の使用における副作用の「罹患性」の自覚を高める教材を用いた保健の授業を行い,その効果を検討することを目的とした.
著者
神馬 征峰
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.245-252, 2013 (Released:2014-09-05)
参考文献数
20

背景:1994年以降ポピュレーション・ヘルスの波が高まるにつれ,とりわけカナダではヘルスプロモーションが下火となり,ヘルスプロモーションの価値見直しの検討がなされてきた.注目すべき事項として,本稿では3つの課題をとりあげる.第1に「ヘルスのプロモーション」と「ヘルスプロモーション」の違い,第2にヘルスプロモーションにとって望ましいエビデンス,第3にヘルスプロモーションの発展過程についてである.内容:第1に,「ヘルスのプロモーション」とは,健康を増進しようと思っている人すべてにあてはまる共通な言説である.一方「ヘルスプロモーション」は「健康に影響を及ぼすライフスタイルや生活状態を計画的に変容させていく」ための専門分野ととらえるべきである.第2にエビデンスに関しては,プロミスィング・プラクティス(有望実践例)がより適切であるとの動きがある.有望実践例とは,「ベスト・プラクティスと称するほどには十分(科学的に)評価されていないかもしれないけれども,輝きに満ち(illuminating)かつ心をゆさぶる(inspiring)実践例」である.最後に,ヘルスプロモーションの発展プロセスとして,ツリー型(樹木型)に対して,ヘルスプロモーション活動があちこちから生じるリゾーム型(地下茎型)の発展がみられている.結論:公衆衛生分野においてヘルスプロモーションの定義をより専門的なものと捉え,有望実践例が,リゾーム型に発展していくプロセスに今後注目すべきである.
著者
煙山 千尋
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.174-178, 2016

目的:メンタルヘルスを向上・維持することは必須であり,それを考慮した研究は重要である.本稿では,第22回IUHPE世界会議における,メンタルヘルスに関連する発表や議論に焦点を当て,各報告の概要と特徴について,学会大会での報告,抄録の内容や関連資料から概観した.<br>内容:健康行動に影響する心理的変数としてメンタルヘルスを用いた研究が多く発表された.具体的には,メンタルヘルスとヘルスケアサービスの利用,食行動,運動の実践などの健康行動との関連性が認められた.中でも,ヒスパニック系男性カップルを対象とした調査は貴重である.さらに対象は,幅広い特性を持つ幅広い年齢層に渡っていた.そして,メンタルヘルスの不良は,喫煙,不適切な性行動,自殺,退学,身体不活動,不規則な食行動,薬物利用など,多くの不適応行動や不健康行動と関連していた.反対に,良好なメンタルヘルスは,身体活動の増進や望ましい生活習慣の獲得など,健康行動や適応的な行動との関連が大きいことも報告されていた.<br>結論:今後,日本においても,心理職と他の職種とが連携しながら活動領域を広げ,その活動の一環としてメンタルヘルスの維持増進に関する研究を推進することが重要である.メンタルヘルスの概念は幅広い意味を含んでいる.社会環境や社会状況も変化している.人の心理を適切に捉えるためにも,慎重にメンタルヘルスの内容を吟味する必要がある.