著者
加納 実紀代
出版者
ジェンダー史学会
雑誌
ジェンダー史学 (ISSN:18804357)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.5-19, 2015

<p>日本の原発導入は、1953 年12 月のアイゼンハワー米大統領の国連演説「原子力の平和利用」に始まるが、その年は日本の「電化元年」でもあった。テレビ放映が始まり、家庭電化製品が相次いで売り出された。54 年3 月には「原子力の平和利用」は国策として動き出すが、それにともなって電化ブームがおこり、55 年にはテレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫が「三種の神器」としてもてはやされる。</p><p>その背景には、占領下において流布した原爆の威力への肯定的評価やアメリカ文化の紹介によってかき立てられた電化生活への憧れがあった。1952 年4 月の独立後、原爆の人体への被害が報道されるようになるが、物理学者武谷三男は被爆国だからこそ「平和利用」すべきだという原発推進の論理を展開、『読売新聞』を中心とするマスメディアも、アメリカと協力して「平和利用博覧会」を主催するなどキャンペーンにつとめた。</p><p>その一方、54 年3 月のアメリカの水爆実験によるビキニ事件をきっかけに、女性を中心に原水爆禁止署名運動が盛り上がり、55 年8 月には国民の3 分の1 以上という多数の署名が集まっている。原発導入と原水爆禁止運動は両立・同時進行したことになる。</p><p>それを可能にした一因として、「原子力の平和利用」という経済発展は男性、原水爆禁止という平和運動は女性というジェンダー分業があげられる。電化生活による近代化、産業構造の高度化により、社員・主婦というジェンダー分業を柱とする近代家族が普遍化したが、それは家庭内にとどまらず、進歩・発展は男性、ケアや後始末は女性という社会的分業をも定着強化した。</p><p></p>

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