著者
橋村 愛 大西 真由美
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.323-332, 2016

<p><b>目的</b></p><p>  長崎県内で生殖年齢にある外国人女性が多く居住する長崎市および佐世保市の周産期ケアに携わる看護職が考える「外国人への周産期ケアコミュニケーション能力」として必要な要素を抽出することを目的とした。</p><p><b>方法</b></p><p>  長崎市および佐世保市の分娩取扱い医療機関全25施設のうち、調査協力への承諾が得られた長崎市6施設、佐世保市4施設の計10施設に勤務する、周産期ケアに携わる看護職207人を対象に、郵送法による無記名自記式質問紙調査を実施した。質問紙は個人属性、海外・外国人関連項目(英会話能力、海外滞在・渡航経験、異文化学習経験、外国人患者ケア経験、外国人妊産褥婦ケア経験)、および独自に作成した38項目から成る「外国人への周産期ケアコミュニケーション能力」に関する質問から構成した。38項目は「全く必要でない」「あまり必要でない」「やや必要」「とても必要」の4件法で回答を求め、順に1点から4点と点数化した上で因子分析を行った。</p><p><b>結果</b></p><p>  10施設207人の看護職を本研究対象とし、141人から回答済み質問紙が返送され(返送率68.1%)、そのうち有効回答が得られた120人を分析対象とした(有効回答率58.0%)。外国人妊産褥婦ケア経験のある者は120人中111人(92.5%)であった。長崎市内施設看護職では中国出身、佐世保市内施設看護職では中国または米国出身の外国人妊産褥婦へのケア経験があると回答した者がそれぞれ8割を超えた。「外国人への周産期ケアコミュニケーション能力」に対する必要性の認識では38項目中36項目の平均得点が3.0以上であった。平均得点が3.0を下回った2項目を除く36項目で因子分析を行い、さらに因子負荷量の絶対値の基準0.4以下であった3項目を除外した上で再度因子分析を行った。その結果、「異文化理解」「資源活用」「問題解決」「異文化尊重」「情報伝達」「非言語コミュニケーション」「自文化理解」「分娩期対応準備」の8要素が抽出された。</p><p><b>結論</b></p><p>  長崎市および佐世保市の周産期ケアに携わる看護職は、「外国人への周産期ケアコミュニケーション能力」として、「異文化理解」「資源活用」「問題解決」「異文化尊重」「情報伝達」「非言語コミュニケーション」「自文化理解」「分娩期対応準備」の8の要素の必要性を認識していた。</p>

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