- 著者
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齋藤 学
- 出版者
- 日本デザイン学会
- 雑誌
- 日本デザイン学会研究発表大会概要集
- 巻号頁・発行日
- vol.59, 2012
2011 年度から新しい学習指導要による学校教育がスタートしているが、小学校図画工作科において「デザイン」という用語が使用されなくなったことをはじめ、普通教育における「デザイン」の取り扱いは大きな転換点にある。そうした中で、鑑賞による学習の充実が求められており、中学校美術科の教科書においては、身近な生活用品が図版に用いられた鑑賞教材が多数掲載されている。この学習をより有効なものとするためには、実際に手で触れ使うことができる鑑賞の機会の提供が必要であり、「体感型」の鑑賞学習プログラムの開発を試みた。<br> 名作椅子を用いた「体感型」鑑賞プログラムは、一般的な「見る」鑑賞に比べ、生活におけるデザインの働き(形状・素材・色・機能など造形の諸要素の関係性)について理解が得やすく、その学習効果の優れた特性が認められた。また、本プログラムをシステム化し効果的に運用(教材の管理とアウトリーチ)していくためには、今後、地域における学校間の連携と、自治体、公共施設、非営利団体、企業等の支援体制の整備が必要である。