- 著者
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木村 仁美
- 出版者
- 視覚障害リハビリテーション協会
- 雑誌
- 視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
- 巻号頁・発行日
- vol.21, pp.83, 2012
ろうベースの盲ろう者であるAさんは、若い頃に手帳を取得していたが、社会との接点を持たず、社会資源も活用することなく在宅生活を送っていたようである。ところが、同居家族の逝去により、突然、独居となってしまった。<BR> 幸いにも、近隣の親戚から支援が得られ、福祉事務所につながることができたものの、もともと交流が乏しかったため、従前のAさんのライフスタイルを知る人は誰もいない。ホームヘルパーの導入などでライフラインを整えることはできたが、Aさんとのコミュニケーションが十分に取れない中で、何を望み、どういう生活を本人が目指しているのかはきちんと見えていない。<BR> まだ、本人の意向を十分に把握するには至っていないが、多職種、多事業所が関わり、情報交換をしながら、少しずつ本人への理解が進んできたと言えるところである。福祉事務所とヘルパー事業所の関わりだけでも、生活は維持でき、時間の経過とともに落ち着きを見せるようにはなってきたが、大きく流れが変化したのは、専門職が関わるようになってからである。自分の意思で行動する機会が持てるようになり、行動範囲を広げることができると在宅のストレスも緩和されてきた様子で、最近では表情も明るくなったと周囲から言われている。専門職集団である福祉センターの存在、および地域に視覚障害の専門職が配置されていることが大きく貢献していると言える。<BR> 現在も支援は進行形であり、試行錯誤を繰り返しながら、格闘してきた約1年間の関わりを報告する。