著者
高野 愛 坪川 理美 DeMar Taylor 川端 寛樹
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.64, pp.43-43, 2012

多くの生物は,所属する生態系内に適した Niche(ニッチェ)を獲得している.しかしながらある生物の遺伝的変化等が生態系内ニッチェ分布に影響を及ぼすこともある.近年,マラリア原虫の遺伝学的変異が感染宿主域の変化をもたらし,その結果哺乳類,鳥類,爬虫類へそのニッチェが拡大した可能性(ビッグ・バン仮説)が示されている<sup> 1)</sup>.ダニ媒介性感染症病原体の多くは,媒介ダニによって効率よく伝播されるためにその感染維持システムを進化させることで,自らのニッチェを獲得・維持してきたと考えられている.このため,病原体と媒介宿主の遺伝学的系統は多くの点で一致すること,すなわち「共種分化:cospeciation」関係が見出されることが多い.しかしながら,我々はマダニ媒介性感染症の一種であるボレリア感染症に関する研究を行う過程で,共種分化では説明できない,急激な進化プロセスがボレリア属の進化の歴史に内在される可能性を見出した.その急激な進化は,マダニ体内における病原体の動態を変化させる遺伝学的要素の獲得に起因する「宿主転換:Host-switching」によるものと考えられた.我々は,この進化学的イベントを理解するための研究を様々な角度から進めている.本発表ではこの研究についての最新の知見を報告する.1) Hayakawa T,et al. Mol Biol Evol. 25:2233-2239, 2008.

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こんな論文どうですか? マダニとボレリアの共種分化説におけるパラダイム・シフト(高野 愛ほか),2012 https://t.co/JQMea6mQU5

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