- 著者
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落合 太郎
大嶺 茉未
- 出版者
- 日本デザイン学会
- 雑誌
- 日本デザイン学会研究発表大会概要集
- 巻号頁・発行日
- vol.62, 2015
本研究は音楽が時間経過の感覚にどのように影響を与えるか?という命題を簡単な実験によって検証したものである。音楽が人の情緒に直接作用することは経験上誰もが知っていることであるが、これが時間経過の感覚にどのように作用するかはまだ解っていない。西洋音楽の3要素であるテンポ、ハーモニー、メロディをはじめ印象や音の高さが、どのように実際の時間経過時間と感覚時間の差となって表れるかを検証した。誰もが知っているモーツアルト「きらきら星」(k.265/K.300e)の主題と12の変奏曲のなかから特徴的な9曲を選定していずれも60秒に編集し、感覚時間等を18名の被験者に聞いた。全曲が同じ時間であることは被験者に伝えず、曲の要素を変えながら感覚・イメージへの影響をアンケートで設問した。仮説としては、速いテンポの曲が短い時間経過を感じると想定した。しかし結果は真逆で、静かでスローな曲は時間経過が短く、ダイナミックでアップテンポな曲は時間経過を長く感じさせた。2011年に著者らが発見した「逆浦島時間」の仮説と符合して、音楽が感覚を活性化して「逆浦島時間を誘発する」という結果となった。