著者
紺野 卓
出版者
日本監査研究学会
雑誌
現代監査 (ISSN:18832377)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.27, pp.176-187, 2017

<p>地方公共団体のステークホルダーである住民の目を,いかにして行政運営に役立てるか,その一つの鍵となるのが住民監査請求である。住民からの適正な監査請求は,行政のムダをなくし,効率的な組織運営に寄与すると考える。しかしながら,仮に適正な監査請求がなされたとしても,監査請求を受ける監査委員の対応が不適当である場合には,同請求は組織の改善等には役立たない。もしも監査請求に際して,監査委員の適当とはいえない対応が見られる場合には,監査委員には法的ペナルティーも検討されるべきである。本稿では,監査委員の法的責任追及の可能性について,これまでの議論を踏まえて概観するとともに,同責任を明確化する目的で会社法の規定を参考とする。特に会社法で規定する「不提訴理由通知書」は,株主からの請求に対して,株式会社の監査役に実効性を伴った監査を実施させる動機づけとして有効であり,併せてどのような監査が実施されたのかが明らかとなるため,ステークホルダーである株主にとって有用な資料となる。地方公共団体の監査委員の法的責任を明らかにするためにも,同通知書に相当する文書の,地方自治法における導入が強く望まれる。併せて,住民監査請求における監査請求期間の制限について,現行の1年から,民事規定も参考にして拡大すべきことを提言する。</p>

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