著者
小菅 良豪 米 康充 伊藤 勝久
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.11-22, 2016

森林経営計画制度は,面的まとまりによる効率的・持続的な森林経営と木材供給の実現を掲げ2012年に施行された。しかし森林経営計画は,作成要件のハードルが高く,計画の進捗率は思うように伸びなかった。そこで国は,2014年に森林経営計画制度を改正し,作成要件を緩和した区域計画を新設した。区域計画の狙いは,条件緩和により属地計画の進捗を高め集約化の基盤を形成することであった。本稿では,区域計画の新設による森林経営計画の策定への影響について,意欲ある素材生産業者の計画参入の意義と可能性を3業者の事例を基に明らかにした。森林経営計画の素材生産業者の参入要件として,①計画策定経験者の雇用などによる事務能力が高い,②地元から評価と信頼を得ている,③森林組合との棲み分けが可能であるという3要件を満たすことが挙げられ,参入業者はそれらを満たす者に限定されていることがわかった。また素材生産業者の森林経営計画参入の意義は,森林組合が計画を作成できない空白地を埋める役割など,地域によって異なることが明らかになった。

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