著者
笹原 英樹 重宗 明子 後藤 明俊 三浦 清之
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.21-25, 2017

食味に関する新たな交配母本を選定する目的で日本在来イネ品種の食味および米のアルカリ崩壊性を2004~2005年度にのべ83品種調査した.供試品種の中には「コシヒカリ」以上の食味を持つ品種は存在しなかった.在来品種の中で最も食味が良かったものは,2004年は「かばしこ(JP 10698)」, 2005年は「日の丸」であった.次に,登熟気温,米のアルカリ崩壊性,食味総合評価値との関係を検討した.アルカリ崩壊性は登熟気温が低いほど高くなると考えられた.食味とアルカリ崩壊性には正の相関が認められ,アルカリ崩壊性が高いほど食味が高い傾向がみられた. これらのことから,登熟気温が低い晩生品種では,アルカリ崩壊性が高くなり,良食味となる傾向があると考えられた.したがって,在来品種から交配母本を選定する際には,同じ熟期の品種群内での比較により食味やアルカリ崩壊性が高いものを選ぶ必要があると思われた.「コシヒカリ」よりも食味評価は低いものの,食味評価が比較的良好な在来品種は,「コシヒカリ」の系譜とは異なる新たな食味に関する遺伝資源として期待される.

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