著者
坂本 雄
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.44, pp.S12-5, 2017

非臨床安全性評価に関する研究成果の蓄積や、非臨床及び臨床安全性に関する種々のガイドラインの策定がなされてもなお、臨床試験の実施中又は製造販売後に、安全性上の問題により開発又は製造販売の中止を余儀なくされる医薬品は依然として存在する。このことは、当該医薬品の投与を受ける被験者/患者に対し忍容できない危害をもたらす可能性がある点で重大な問題であるだけでなく、当該医薬品の開発者にとっての予期せぬ開発又は販売中止のリスクとしても軽視できない。安全性上のシグナルを非臨床試験の段階で検出することができれば、あらかじめヒトでの安全性の確保を考慮した適切な用量の設定、又は開発中止の決断に資することができる可能性がある。<br> 現在、医薬品開発で汎用されている安全性バイオマーカーであっても、感度及び特異性の点で課題を有するものがある。加えて、適当な安全性バイオマーカーがまったく確立していない組織又は臓器も存在する。したがって、新たな安全性バイオマーカーの研究開発は、将来的なヒトへの応用という展望も含めて、医薬品開発の成功確率や公衆衛生の向上へ寄与しうる重要な領域であると考える。本発表では、非臨床試験で認められた所見に関して確立されたバイオマーカーがなく、所見の意義及びヒトへの外挿性が論点となった審査事例を紹介するとともに、バイオマーカーを医薬品開発における意思決定の根拠として使用するに際しての留意点について議論する。さらに、バイオマーカー評価のための医薬品医療機器総合機構(PMDA)の体制を紹介し、新たな安全性バイオマーカーの研究開発に対する期待を述べたい。

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