- 著者
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佐藤 英晶
- 出版者
- 帯広大谷短期大学
- 雑誌
- 帯広大谷短期大学紀要 (ISSN:02867354)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, pp.45-53, 2018
2025年問題を前に一部の地域では新たな施設の建設の延期や中止など介護人材不足が現実味を帯びてきた。介護人材不足の背景には、介護人材需要の大幅な伸びと介護人材の供給が追い付かない現状がある。そこには、一般的にいわれる労働条件の問題だけではなく、法人・事業所の人材マネジメントの課題やそれに対する具体的な方策の不明瞭さが大きな要因であると推測される。また、介護職の全就労者に占める新規就業者の割合が上がらない背景には景気動向に左右されやすい点や既に採用率が全産業平均より高い状況、生産年齢人口の減少があり、大幅な伸びが期待できないことが分かった。法人・事業所での人材マネジメントの強化により離職を防止し、魅力ある職場づくりをすることが採用率の上昇につながると考えられる。また、そのためには質の高い中核的人材を増やし、介護の質を高めることが重要である。そうした人材が新規就労者のロールモデルとして機能し、更には指導・教育を担い、離職を防止する。また、労働環境の改善を促し、介護職のネガティブイメージの払拭に繋がる。結果として介護人材の確保に繋がり、介護人材の需給ギャップの解消になると結論づけられた。