著者
伊藤 たてお
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.27-36, 2018
被引用文献数
1

<p>2015年1月1日から施行された「難病の患者に対する医療等に関する法律」(以下,難病法とする)の提起と成立に至る患者会の活動を振り返り,患者会の視点からの新たな課題と問題提起を行う。難病対策は1972年の難病対策要綱以来,対象疾病や事業の拡大をしてきたが,予算措置であるためにその時々の国の予算の範囲内での対策とされていた。その歴史の中で患者会はどのような運動を展開して難病法の成立に関わったのかは,今後の日本の難病対策の在り方の議論においても重要な意味をもつものではないだろうか。患者会の果たすべき役割はより大きくなると考える。</p><p>「難病の患者が尊厳をもって地域で生活をしていくことのできる社会」の実現を目指すとしている難病法の見直しについての課題を提起する。それを一言に集約するならば,「すべての難病とその患者を難病法の対象とする」ということである。医学的な見地とはまた別に,患者の生活を支援することの重要性の理解が必要であると考える。加えて,急速に発展する医学の発展にも対応できる仕組みの構築が必要と考える。法律はよりシンプルである方が多くの国民の理解を得られやすく,かつ行政的にもコスト的にもより効率的になると考えるからである。</p><p>現状では様々な課題も次第に明らかとなっているが,難病法のもつ「国民の健康の向上に寄与する」という目的からも,他の施策との横並びの整合性を過剰に重要視すべきではないと考える。</p>

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