著者
青木 幸子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.11, 2010

【目的】<BR> 男女平等は世界共通の課題である。今年度は、1979年の「女子差別撤廃条約」の採択から31年、85年の批准から25年とちょうど節目の年に当たり、しかも国連女子差別撤廃委員会への第6回報告書に対する最終見解の受理等と併せて、我が国の今後の取り組み課題について見直しを図っていく時期でもある。<BR> 政府においても第3次男女共同参画基本計画の策定準備が進められており、「男女共同参画社会基本法」に謳われた21世紀社会の喫緊の課題としての男女共同参画の新たな方針を検討中である。<BR> 固定化された男女の役割分担への意識や行動は、以前に比べると薄らいできたが、経済状況の悪化による環境整備は難しい局面を迎えており、男女平等への道のりは険しい状況にある。<BR> 一方、平成生まれの子どもが大学生となり、彼らは小学校から高等学校まで男女共学で家庭科を学んできた。家庭科に男女別学の時代があったことを知り驚いている状況があり、それほどまでに男女平等は彼らにとっては「当たり前」のことである。<BR> 1998年の教育職員免許法の改正により「総合演習」が大学の教職科目として新設された。爾来、「ジェンダーと教育」講座を開講してきたが、そのうち2年間をかけて『男女平等を考える教育カルタ』を製作した。<BR> 昨年度の大会において、このカルタを家庭科の授業で活用し、女子中学生のジェンダー観の涵養に果たすカルタ教材の効果を分析した。その結果、カルタ教材を使用した授業は、生徒の性差意識に揺さぶりをかけ、自らのジェンダー観をリセットする契機としての効果が確認された。<BR> 今回は、この「教育カルタ」を活用し、男女平等を当たり前と認識している教員を目指す大学生のジェンダー意識を分析し、「教育カルタ」の教材としての汎用性について検討することを目的とする。<BR>【方法】<BR>1.対象者;T大学「家庭科教育法_I_」履修者(大学2年)81名<BR>2.調査時期;平成21年12月~平成22年1月<BR>3.研究方法<BR> * 「家庭科教育法_I_」の授業中にカルタ大会を実施し、学生はワークシー トを作成する。<BR> * 授業後にジェンダーチェックを行なう。<BR> * ワークシートの記述内容とジェンダーチェックシートの得点から大学生の ジェンダー意識の涵養に果たすカルタの効果を分析する。さらに、中学生 の結果との比較分析を行ないカルタ教材の汎用性について検討する。<BR>【結果と考察】<BR>1.気になったカルタは、44枚中33枚とカルタ全体の75%に及んだ。選ばれ たカルタは、中学生の結果に比べると分散傾向にあることが確認され た。<BR>2.授業のワークシートの分析から、大学生は、考える>意思表示>分かる >気づく、の順で学びとっていることが確認された。これは、意思表示 > 気づく>分かる>考える、の順で学びとった中学生の学びとは明らか に異なり、学び手の発達段階や経験から多様な学びとりができることを 期待させる結果となった。<BR>3.ジェンダーチェックシートの分析から、固定的な性別役割分担の考え方 には反対する傾向が強いが、身体的・生理的特性に関する項目について は、固定的な性差観にとらわれる傾向が強い。<BR>4.本カルタ教材について汎用性が期待できるが、より多くの学びを提供で きる多角的な視点を持ったカルタの必要性が確認された。

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こんな論文どうですか? 「教育カルタ」の教材としての汎用性:―大学生と中学生のジェンダー意識の分析―(青木 幸子),2010 https://t.co/x9cNFqiG8a
こんな論文どうですか? 「教育カルタ」の教材としての汎用性:―大学生と中学生のジェンダー意識の分析―(青木 幸子),2010 https://t.co/x9cNFqiG8a

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