- 著者
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庄子 晃子
- 出版者
- 日本デザイン学会
- 雑誌
- 日本デザイン学会研究発表大会概要集
- 巻号頁・発行日
- vol.50, pp.29, 2003
昭和3年に仙台市に設立された商工省工芸指導所は、海外にも受け入れられる漆器の創出が指向し、所員小岩峻(古明)が外国人の嗜好に合う鮮明色の漆塗装方法の研究開発に携わり、昭和7年に『工芸ニュース』誌(1巻1号)上で発表、昭和8年に特許を申請、同10年に「漆器新塗飾法」として特許110460を得るに至っている。これがいわゆる玉虫塗である。 工芸指導所は、東北帝国大学金属材料研究所と協力して、研究成果の商品化とそれらの流通を図るために昭和8年に「東北工芸製作所」の設立を支援し、昭和14年に同所に「漆器新塗飾法」の特許を使用することを認めた。同年12月に第一回玉虫塗新作発表会が仙台の三越デパートで開催され、以後、玉虫塗漆器は同所の主力商品となった。本稿では、玉虫塗漆器の研究開発と商品化および流通面での跡づけを行なう。