著者
松岡 絵美 前野 聖子 島田 将尚
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.55, 2007

【はじめに】<BR> 臨床場面にて、トイレの介助量の軽減、又は自立を機に活動意欲やリハビリ(以下リハ)に対する意欲が高まり自立心が強くなる症例に多く出会う。また、当院通所リハ利用者の家族に対する介護負担アンケートをとった結果セルフケア、特にトイレ介助に対する負担の声が多く聞かれた。トイレ動作の早期自立がリハの進行に大きく関わり、在宅生活においても重要になるのではないかと考えた。しかし、何をもってトイレ動作自立と判断するか細かな尺度がなく、当院スタッフ間でも判断に差があり曖昧であった。そこで今回当院で対象の多い整形外科疾患に対するトイレ動作の評価スケールを作成した。<BR>【目的】<BR> トイレ動作の評価スケールを作成する事で問題点を明確にし早期自立を目指す。トイレ動作介助量の統一化を図り、できるADL・しているADLの差をなくす。<BR>【方法】<BR> トイレ動作を身体機能別、動作能力別に細分化し評価スケールを作成する。今回は身体機能面、動作能力面に限定し認知機能、高次脳機能に障害がある症例に関しては対象外とした。 <BR>【評価スケール内容】<BR> 身体機能:上肢・下肢・体幹の可動域制限の有無、筋力に関する項目を設定。バランス能力:座位バランス、立位バランスに関する項目を設定。移動能力:トイレまでの移動能力、移乗動作能力に関する項目を設定。一連のトイレ動作:動作を細分化した項目を設定。<BR>【考察】<BR> セルフケアやADLに関する評価尺度は数多くあるがトイレ動作独自の一般的な評価スケールを見ない。臨床場面でよく用いられるBarthel indexは移乗と後始末に限られており自立か介助かの大まかな評価項目しかない。FIMでは排泄コントロール、トイレ動作に細かく分けられ具体例も明記されているが、点数で表記する為、第三者がその点数表記を見たときに「何ができて、何ができないか」という事が分かりづらい。<BR> 今回作成した評価スケールはトイレ個室に入り出るまでの一連の動作を細分化し、できる動作、できない動作を明確に表記している。試験的に評価スケールを導入してみたところ、問題点を抽出し易くなった。そうする事で、トイレ動作自立に対する目標設定、プログラムの組み立てが容易になり、早期にトイレ動作を習得できるのではないかと考える。またチェック方式で表記するため簡便に評価できる。この結果をリハスタッフ間、病棟スタッフ間で共有する事で介助方法の統一も図れるのではないかと考える。<BR>【今後の課題】<BR> 今回はスケールの作成に留まっている。今後スケールの再現性、妥当性の検証を行い必要に応じ改良していく必要がある。作成したスケールを導入し、データを蓄積、点数化、統計処理を行いトイレ動作の自立ラインの設定を目指す。その結果をトイレ動作自立と判断し、監視を外す指標としていきたい。

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