- 著者
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森 美穂子
吉田 久美
近藤 忠雄
- 出版者
- 日本植物生理学会
- 雑誌
- 日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.2004, pp.415, 2004
(目的)ほとんどの花色を担う色素のアントシアニンは、花弁の表層にある着色細胞の液胞に局在する。液胞内の色素濃度は10<SUP>-2</SUP> Mと非常に高く、様々な分子会合により安定化され、かつ色が変化する。我々は、花弁の着色液胞における<I>in vivo</I>花色発現解明に取り組んでおり、今回細胞内での色素の分子会合を明らかにする目的で、花弁および着色細胞の円二色性(CD)を測定し、<I>in vitro</I>の花色再現実験と比較した。<br>(結果)既に我々はネモフィラ(<I>Nemophila menziesii</I>)青色花弁色素がメタロアントシアニンのネモフィリンであることを、構成成分の単離と再合成実験により明らかにしている。Mg<SUP>2+</SUP>-Mg<SUP>2+</SUP>型錯体は紫色だがMg<SUP>2+</SUP>-Fe<SUP>3+</SUP>型錯体は青色を示し、それぞれ可視吸収スペクトルとCDが異なる。生花弁を測定すると乱反射によるノイズのため極大波長を正確に求められない。そこで、吸水させた花弁及びプロトプラスト懸濁液を用いて測定したところ、いずれもMg<SUP>2+</SUP>-Fe<SUP>3+</SUP>型とよい一致を示した。CDには特有の励起子型の負のコットンが認められ、色素同士のキラルな会合の存在がわかった。さらにアジサイ(<I>Hydrangea macrophylla</I>)など数種の花について測定を行ったので合わせて報告する。