著者
吉田 光毅 今泉 信之 小前 幸三
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.724, 2005

合成オーキシン、2,4-Dはイネ幼根切片で内鞘細胞からの不定根原基の形成を促進する。私達はこの過程でエンド-1,4-β-グルカナーゼの活性が上昇する事を見い出した(Plant Cell Physiol.34:507-514)。このオーキシンで活性上昇する酵素活性を等電点の異なる3画分に精製し、それぞれSDS-PAGEと等電点電気泳動によりクマシーブルー染色で単一のバンドである事を確認した。最も活性の高い画分(MALDI-TOF-MSによる分子量:51216Da、等電点:5.5)を用いて基質特異性を解析した。本画分はCM-セルロース、リン酸膨潤セルロース、(1→3),(1→4)-β-グルカン、セロオリゴ糖(DP4以上)だけでなく、アラビノキシランやキシランのようなタイプII細胞壁の主要マトリクス多糖や、グルコマンナン、1,4-β-キシロヘキサオースも分解した。つぎに精製タンパクのN末端・内部アミノ酸配列をcDNAやゲノム配列と対応させて、全アミノ酸配列を決定した。本遺伝子の翻訳産物(GHファミリ-9)は全長が約68kDaの長さで、精製タンパクよりもC末が約130残基ほど長い事が示された。ノーザン解析により、この遺伝子は幼根切片で2,4-Dにより発現量が増大し、根由来のカルスでも発現している事が示された。単子葉植物イネで、オーキシンの不定根誘導と関わるエンド-1,4-β-グルカナーゼの部分的性質を明らかにする。

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