- 著者
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塚本 学
小林 大輔
岩城 俊雄
和田野 晃
- 出版者
- 日本植物生理学会
- 雑誌
- 日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.2003, pp.374, 2003
シアノバクテリアは,無機炭素濃縮機構(CCM)を持ち効率良く光合成を行っている.この CCM の構成要素としてカルボキシゾームが挙げられる.現在までに様々なカルボキシゾーム変異株が報告され,これらは High CO<SUB>2</SUB> 要求性を示す. 本研究では,このような High CO<SUB>2</SUB> 要求性株に対して外来 Ribulose 1,5-bisphosphate carboxylase/oxgenase (RuBisCO)を導入し,High CO<SUB>2</SUB>要求性の改善を検討した.<br><I>Synechococcus</I> PCC7942においてカルボキシゾームレスミュータント(CL)を作成した.CLは High CO<SUB>2</SUB> 要求性,CO<SUB>2</SUB> 親和性の低下,0.5% CO<SUB>2</SUB> 環境下における顕著な生育阻害という3つの特徴が見られた.この変異株に外来 RuBisCO を導入するため発現ベクターを作成した.プロモーターとして 6803psbAII promoter を,外来 RuBisCO として <I>Chromatium vinosum</I> RuBisCO を用いた.これらが導入された CL(CL-AX)で,RuBisCO 活性が約5倍増加し,最大光合成速度は約 2.5 倍に増加した.さらに CL-AX では,0.5% CO<SUB>2</SUB>条件下において生育阻害が緩和された.