- 著者
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長峰 高志
太田 公規
遠藤 泰之
Januszko Adam
Kaszynski Piotr
- 出版者
- 日本薬学会化学系薬学部会
- 雑誌
- 反応と合成の進歩シンポジウム 発表要旨概要
- 巻号頁・発行日
- vol.29, pp.58-59, 2003
典型的な液晶であるカラミティック液晶としての性質を示す分子の多くは、芳香環などの剛直な構造に、柔軟なアルキル鎖と分極性を与える極性官能基を組合わせた棒状の構造を有する。これらの構成部分の構造により、様々な性質を示すが、剛直な基本構造部分は安定性、色、誘電率、液晶相の温度範囲などの物性に大きな影響を与える。最近、芳香環に替えて2,2,2-bicyclooctane(BCO)を有する液晶性化合物が、研究されている。一方、<i>p</i>-カルボラン (1,12-dicarba-<i>closo</i>-dodecaborane) は二十面体構造の含ホウ素クラスター化合物であり、高い耐熱性と疎水性を有する。<i>p</i>-カルボランは、BCOと共通の球形の分子形状と直線的な置換基配向を有する上に、炭素上に容易に置換基を導入しうるというBCOにない合成上の利点をもつ。そこで、<i>p</i>-カルボランを基本骨格とする新規液晶分子の合成を目的として、図に例として示す化合物を含め10種の化合物を設計・合成して、その相転移を測定した。その結果、多くの化合物が明確にカラミティック液晶の一つであるネマティック液晶としての性質を示した。