- 著者
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高田 篤
- 出版者
- 日本ロービジョン学会
- 雑誌
- 日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
- 巻号頁・発行日
- vol.7, pp.45, 2006
拡大読書器の利用状況○高田 篤、越後谷 法義、豊田 久、永倉 利美、白神 章 (株)高田眼鏡店 加藤 聡、国松 志保、田村 めぐみ、落合眞紀子、柳澤美依子 (東京大学眼科)【目的】拡大読書器は日常生活用具として広く使用されている。今回我々は、拡大読書器の利用状況を追跡調査することによって、社会資源として有効に利用されているか否かを検討した。【対象と方法】平成14年4月から平成18年4月までに拡大読書器を購入した97名を対象としたところ、対象の平均年齢は68.0±17.0歳であった。視機能障害となった原因疾患は糖尿病網膜症:11例、緑内障:30例、黄斑変性:26例、その他:17例、不明:13例で障害者等級の内訳は1,2級:46例、3,4級:24例、5,6級:16例、不明:7例、該当なし:4例であった。購入後調査時期までの期間は15.9±10.8ヶ月であった。拡大読書器の内訳はTimes社製AV-100:48台、AV-100ネオ:14台、AV-300:2台、ナイツ社製VS-1500AF:22台、VS-2000AF:5台、VS-_III_:6台であった。アンケート調査は電話にて行なった。【結果】電話アンケートの結果、連絡が取れなかった7名を除く、90名中拡大読書器を現在も使用しているが79名(87.8%)、使用していないが11名(12.2%)であった。使用していない理由は視力低下の進行:4名、使用時の眼精疲労や頭痛:5名、高齢の為寝たきりの状態になった:2名であった。使用しなくなった時期は購入後18.0±10.9ヶ月であった。【結論】拡大読書器は日常生活用具の一つとして多くの視覚障害者にとって長期にわたり有用に使用されていることが判明したが、使用できなくなる例もあることから販売後1.5年に使用状況を調査し、非使用例での拡大読書器の有効活用が行われることが望ましいと考えられた。