- 著者
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速水 洋
- 出版者
- 日本ロービジョン学会
- 雑誌
- 日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
- 巻号頁・発行日
- vol.8, pp.48, 2007
<br> 1990年4月より始まった長居公園を歩く、月1回の「白い杖のつどい」が2006年7月で200回を数えた。これは歩行訓練終了者から「見えている人と同じように、のんびりと公園を歩いてみたい」という声が上がったのをきっかけに始まったものだ。<br> 長居公園内の外周道路(マラソンコース:1周2813m)は、前に向かって歩けば、スタート地点に戻って来られるワンルートのコース。しかも、幅10mぐらいのマラソンコース(車道)の両側は、幅3mぐらいの歩道になっていて20cmぐらいの段差があるので、その段差に沿って車道を歩けばコースから外れることはない。歩道には街路樹やベンチ、ゴミ箱等、いろいろなものがあってかえって歩きにくい。その点、マラソンコースなら障害物もないし、公園管理の車がたまに通るだけなので安心して歩ける。「すごいスピードで歩く人」「おしゃべりしながらのんびり歩く人」それぞれの歩き方で楽しんでいる。<br> 午後からは公園内の植物園へ。まず、弁当を食べる。そして、散策。四季折々の草花を楽しみ、小鳥の囀りに耳を傾ける。大きな池もあり、カモやコイに餌をやるのも楽しみの一つ。<br> 3人でスタートしたこの「つどい」が、回を重ねるごとに参加者が増え、70人を越えるときもある。この「つどい」は、決められた日時に決められた場所に集まり、集まった人だけで歩く。事前の連絡は不要で、いつ帰ってもかまわないという気楽なものだ。毎回歩く前に自己紹介するので、初めての参加でも気軽に溶け込めることも長く続いている要因の一つだろう。雨天決行、参加者がいる限り行う。まだ中止は一度もない。<br> 参加者は大阪市内を中心に、堺、熊取、泉大津、箕面、寝屋川、枚方、島本町と多彩で、遠くは神戸や和歌山県の御坊、桃山町、三重県の名張からの参加もあった。<br> この「つどい」に参加して、「歩く喜び」を再発見する人も多い。平日の昼間ということもあり、仕事の都合でなかなか参加できない人も多いが、コースが簡単なので、早朝や休日に歩いている人もいる。また、「つどい」を機にいろいろな交流が広く行われている。<br> 全国各地でこのような「つどい」が、ごく自然に行われ、視覚障害者の「ひとり歩き」が当たり前のこととして受け止められるようにと願っている。今回もその途中経過を報告する。<br><br> ※ 参考文献 「キミちゃんのえがお」