- 著者
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高柳 泰世
- 出版者
- 視覚障害リハビリテーション協会
- 雑誌
- 視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
- 巻号頁・発行日
- vol.19, pp.1, 2010
【弱視者の現状と課題】私は数年前に或る弱視者団体代表から「弱視として50余年の生活の中で、全盲の人と晴眼者の間で、そのどちらでもない立場がなかなか理解されず、福祉施策や街づくりの中で、存在感を高めていくよう運動しているが、愛視援理事長・眼科医として弱視者の諸問題と今後の展望について」講演するようにと依頼された。ローヴィジョンの呼称を最初に提唱した私としては、確かにローヴィジョン者は晴眼者と全盲者の狭間で対応を忘れられてきた期間が長かったと感じてきた。ここ数年で大幅によい方向に転回していると考えられる。「平成22年度 全国拡大教材製作協議会総会及び拡大写本のつどいin名古屋」を5月16日名古屋市総合福祉会館で開催した。全国から写本ボランティア他165名の参加者であった。一昨年「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」(通称:教科書バリアフリー法)が公布され、拡大教科書作成はその教科書出版社に製作義務が課され、そこで出来ない場合はボランティアに依頼することになった。拡大写本のつどいにおいて関係者からの積極的な発言で、これからの進展に期待できると感じたので、その会についての情報を提供する。【石原表誤読者の就労と人権】一方視力も視野も正常な色覚特性を持つ者が警察官の身体要件にあわないと判定されてきた。昨年まで『正常なこと』は10都県警であったが、近年大幅に改善されてきているので現状を示す。以前は『色盲・色弱』と言う表現で一冊の色覚異常検査表が読めないだけで、多くの大学が入学制限をし、多くの公務員、個人企業が入社制限をしてきた。私が名古屋市教育委員会の理解と協力を得て、石原表誤読者の色彩識別能力の調査研究を継続してきた結果、石原表は職業適性検査表ではないことを証明できたので、労働安全衛生法、学校保健法、船舶職員法が改正され、色覚検査は削除された。その経緯と今後の展望について述べる。