著者
森 豊彦
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.701, 2005

中米ホンデュラスの標高約1600mから2300mの山地において、ガジナコガネ<i>Phyllophaga obsoleta</i>(甲虫目コガネムシ科)の生活史、食性、行動、発生消長等を2000年4月から10月までの間に調査した。生息地の優占植生は松と広葉樹の混交林であった。主な土地利用形態は野菜栽培、トウモロコシ栽培、ジャガイモ栽培、果樹、コーヒー栽培、牧場であった。生活史において、成虫の出現期間と産卵期間は4月上旬から7月上旬、幼虫期間は4月から12月、蛹化期間は12月から4月までと推定された。産卵は土中へ行われ、孵化から幼虫、蛹、羽化までも土中で行われた。卵から成虫までの発育期間は1年であると推定された。幼虫の食性において、1令幼虫は主に土壌中の有機物を摂食し、2令と3令幼虫は有機物だけでなく、多様な草本植物、野菜、作物、牧草、コーヒー樹等の根を摂食した。一方、成虫の食性では、室内実験と野外調査の結果、コナラ属の樹木、特に落葉広葉樹のコナラ類の葉や低木果樹のモラ(バラ科)の葉をより好んで摂食した。しかし、成虫は果樹のリンゴ類、モモ類、アボガド類の葉への摂食は比較的少なく、柑橘類の葉の摂食は見られなかった。成虫は夜間に活動し、灯火に飛来した。交尾行動は5月において、午後7時頃から午後9時頃に観察された。日中、成虫は土中や落葉下に潜入して活動を休止した。成虫の発生消長において、雨期が始まる4月上旬からはじまり、5月中旬から下旬にかけて出現数が最大になり、6月下旬から7月上旬に終息した。土中で羽化した成虫が地上へ出現する引き金は、乾期から雨期に変わり、降雨量が10mm前後の日が数日間続くことであると考えられた。成虫は野菜、作物の害虫として大発生し、街灯がある村全域に大量に飛来した。

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