著者
SCHIMMER Ralf GESCHUHN Kai Karin VOGLER Andreas 田村 香代子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.109, 2018

この白書では,現在の購読型科学雑誌の集合体をオープンアクセスのビジネスモデルへ大規模に転換することについて,事実に基づいて強力に論証する。現存する雑誌は十分にテストされた機能をもっているので,維持され,かつ21世紀の研究のための需要に応えなければならないが,同時にその裏にある支出の流れは大幅に再構築される。オープンアクセスへ向けたこの決定的な前進は,十分な勢いをもっている。今ある多様なイニシアティブは,この明確な目標にまとまってゆくために協調するものでなくてはならない。研究の国際的な性質は,世界の一流の研究機関のコンセンサスを通じたものでなくては,この転換が真に世界的な規模で達成されることはないだろうということを暗示している。全ての状況を勘案すれば,すでに学術出版システムに投下されている資金は,未来へ向けて持続可能な転換を可能とするために十分なものである。現在雑誌購読システムの中に封じ込められている資金は回収されオープンアクセス出版サービスに再投資されるべきであるという理解が共有されなければならない。現在の図書館資料購入予算は,財政面やそれ以外のリスク無しでの転換を可能とするための究極の宝物庫である。目標は,今もなお研究者から要求されている,出版社が提供する確立したサービス水準を維持する一方で,必要な支払の流れを再定義し再編成することである。根本的なビジネスモデルを破壊することによって,雑誌出版が生き延びていくための力は維持され,未来の学術界の発展へ確かな足跡を残すことができる。

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