著者
荒木 のりこ 江上 敏哲 坪内 奈保子 西川 真樹子 渡邊 伸彦
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.2042, 2019-08-31 (Released:2019-09-11)

2018年,国際日本文化研究センターはOCLC WorldCat に蔵書の目録情報を登録し,OCLC WorldShare ILL による海外からの本格的なILL 受付サービスを開始した。目録は30万タイトルを一括登録し,またILLは1 年間で236件の受付を実施した。実施までには紀伊國屋書店,OCLC,海外の日本研究司書コミュニティとの連携・協力があった。実施後は多方面に広報を実施した。これらにより海外の日本研究への寄与や,日文研自体の存在感向上が期待できる。課題として,謝絶の多さ,参加料・労働力等のコスト,国内他大学の参加を増やすこと等がある。
著者
小陳 左和子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.117, pp.2110, 2021-03-31 (Released:2021-04-03)

東北大学附属図書館における2011年の東日本大震災,2019年の令和元年台風第19号,2020年の新型コロナウイルス感染症といった,性質の異なる災害への対応についてそれぞれ報告するとともに,その経験から得られた知見や課題について言及する。
著者
森脇 優紀
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.106, pp.12-22, 2017-05-31 (Released:2017-09-22)

本稿では,東京大学経済学図書館が所蔵する西洋の古文書を実例として,西洋古文書学について概説を加えつつ,西洋古文書の構造や特徴を紹介することで,文書の内容分析の研究とは違った視点から,西洋古文書を読み解く手法を示す。
著者
児玉 芽生 石田 栄美 渡邊 由紀子 冨浦 洋一
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.119, pp.2123, 2021-11-30 (Released:2021-12-10)

COVID-19により物理的な図書館の利用が制限された特殊状況下において,電子書籍の積極的な利用が期待されている。そこで本稿では,電子書籍のニーズを把握するために,パンデミック前とパンデミック下の九州大学の利用ログを対象に利用傾向を分析した。全体的な傾向として,パンデミック下では電子書籍の利用が増加していた。またMaruzen eBook Libraryについて,アクセス回数,利用時間,ダウンロードページ数の3尺度から分析し,新たなニーズと尺度によって異なる利用傾向が把握可能なことを示した。最後に,電子書籍の利用傾向をまとめ,さらに3尺度の有効性や利用可能性について述べた。
著者
西岡 千文 杉田 茂樹 山中 節子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.109, pp.2007, 2018-08-31 (Released:2018-09-07)

本稿では2018年2月にカリフォルニア大学サンディエゴ校,同ロサンゼルス校,カリフォルニア工科大学,南カリフォルニア大学の大学図書館で実施したインタビュー調査に基づき,米国の大学図書館でのオープンアクセスならびに研究データ管理の支援について報告する。
著者
永崎 研宣
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.1-10, 2016-11-28 (Released:2017-09-15)

本稿は、大学図書館におけるデジタル人文学の状況について、筆者の知る範囲での現状をお知らせするものである。とりわけ、紙媒体からデジタル媒体へと情報の伝達手段が大きく変化するなかで、情報伝達に大きく依存してきた人文学の変容と、そこにおける大学図書館の役割について、主に米国・英国の事例を参照しつつ、日本の状況とそこへの期待について述べている。
著者
竹内 比呂也 國本 千裕
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.114, pp.2062, 2020 (Released:2020-04-28)

本稿は今日の日本の大学図書館に求められる機能の変化を実現するために必要な人材という観点から新たな大学図書館員の育成について論じるものである。過去40年間の大学図書館機能の変化とその際に大学図書館員に必要とされた新しい知識やスキルを明らかにした上で,それらを現職者がどのように獲得してきたかを記述する。その上で,学習(修)支援・教育活動への直接的な関与と研究データ管理という新しい機能について,これらを実現するために大学図書館員が獲得すべき知識,スキルを育成するプログラムの内容を紹介するとともに,その実現に向けた課題を考察する。
著者
小島 浩之
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究
巻号頁・発行日
vol.106, pp.1-11, 2017

本稿は,図書館職員が中国の古典籍を整理する際に必要な情報を得るための手引きとして,基礎知識や基本情報をまとめたものである。漢籍の定義からはじめて,漢籍を読み解くための基本参考書,辞書・辞典類について解説を加えたのち,分類,目録,書誌学・古文書学の順に,それぞれの伝統や学術背景に則して論じ,最後に敬意表現や避諱を例に,内容から年代などを推定する実例を附している。
著者
尾城 孝一 市古 みどり
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.109, pp.2014, 2018-08-31 (Released:2018-09-13)

オープンアクセスとは査読済みの学術論文に対する障壁なきアクセスを意味する。1990年代初頭から始まった多くの運動の結果,OAは着実に進展してきた。本稿では,はじめにOAの定義,背景,小史を振り返り,次いで,近年の大規模なデータを使った調査に基づき,OAの進捗度と影響度を概観する。さらに,OAに関する最近の特筆すべき動向を踏まえつつ,今後の更なるOA推進のために,大学図書館が取り組むべきことを指摘し,最後に「OAの先にある」大学図書館の新たな使命について論じる。
著者
小池 孝昌
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.121, pp.2139, 2022-08-31 (Released:2022-09-30)

神奈川大学は,2021年4月に新たに3キャンパス目となるみなとみらいキャンパスを横浜市みなとみらい地区に開設した。このキャンパスの図書館では,本学の調査によれば日本の大学で初となる,スマートフォンアプリによる貸出サービスを導入した。本論文では,まずサービス導入の経緯,貸出アプリの詳細に関して論じた。続けて,貸出方法ごとの貸出件数の比較や,アプリを導入していないキャンパスとの貸出件数の比較,本キャンパスの学部に所属する学生の平均貸出冊数の変化などを調査し,利用者の貸出行動への影響を考察した。
著者
田中 麻巳
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.83-92, 2014

<p>大学図書館において,展示への注目の高まりの兆しが見られるにもかかわらず,実際どれほどの図書館が展示を実施しているのか,展示をどのようにとらえているのかは明らかにされていない。いくつかの調査例が存在するものの,さらに広範囲な実態調査が必要である。そこで本研究では,全国の大学図書館1,391館に調査票を送付し,展示の網羅的な実態調査を試みた。</p>
著者
小山 憲司
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.111, pp.2033, 2019-03-31 (Released:2019-03-27)

これからの学術情報システム構築検討委員会は,大学図書館と国立情報学研究所との連携・協力推進会議の下に設置された,国公私立大学の枠を超えて今後の学術情報システムのあり方について検討する組織である。2012年の設置以降,それまでに行われてきた議論を参照しながら検討を進め,2015年5月にその後の推進方針となる「これからの学術情報システムの在り方について」をとりまとめた。電子情報資源のデータの管理・共有とNACSIS-CAT/ILLの再構築(軽量化・合理化)の2 点を当面の課題として設定,それぞれ作業部会を設置し,具体的な活動を進めたほか,将来に向けた取り組みについても議論を重ねてきた。本稿ではこれまでの議論を紹介するとともに,私見も交えながらこれからの学術情報システムの方向と課題について検討した。
著者
瀬川 結美 木越 みち 高井 力 竹村 寛子 横山 美咲 高橋 菜奈子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.121, pp.2136, 2022-08-31 (Released:2022-08-31)

東京学芸大学附属図書館は,長年蓄積したデジタルアーカイブを活かすため,歴史的典籍NW事業参加によるコンテンツ拡充,デジタルアーカイブシステム導入に伴うメタデータ整備やIIIFフォーマット対応,データオープン化を行った。これら基盤的整備と並行して,教員養成系大学附属図書館として初等中等教育現場での利活用を目指し,他システムとの連携による翻刻,学校教材としてのデジタルアーカイブ提案に向けた試み「学校教材発掘プロジェクト」を実施した。一連の取組みと今後の課題と展望について報告する。
著者
菅原 聡 長谷川 豊祐
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.99, pp.1-13, 2013-12-31 (Released:2017-10-31)

図書館関連団体は,館種別,主題・分野別,地域別,目的別による図書館間の連携によって形成されている。図書館には,関連団体の事業によって提供されるサービスを享受するとともに,加盟図書館としての一定の役割も発生する。本稿では,全国の大学図書館における県レベルの地域連携の事例と,神奈川県内の大学図書館における連携の事例から,大学図書館における地域連携について考察する。図書館,地域,大学の連携を概観することにより,大学図書館の連携構造を図示した。相互協力を軸とした図書館関連団体の組織・運営・機能を再考する時期に至っていることは明らかである。本稿では,再考に際しての基礎データと,現状の概要と課題を示した。
著者
石黒 康太 中山 貴弘 湖内 夏夫
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.2017, 2018-11-30 (Released:2018-12-08)

神戸大学附属図書館は,2016年,2018年に学生と協力してマスコットキャラクター「うりこ」を使用したLINEスタンプを発売した。その結果,財源としては大きな効果を上げることはできなかったものの,ひと月に10,000回を超えるスタンプ送信利用があるなど一定の広報効果を発揮した。本稿ではこのLINEスタンプ作成の発意から発売までの経緯,販売に関わる手続き,またスタンプのイラストデータ作成上の注意点をまとめ,LINEスタンプの財源および広報としての効果について考察する。
著者
小陳 左和子 矢野 恵子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.109, pp.2015, 2018-08-31 (Released:2018-09-15)

著者が出版料を支払うことによって学術論文を出版と同時にオープンアクセスにする方式は,今やジャーナル出版社のビジネスモデルの一つとして拡大している。本稿ではまず,著者支払型のゴールド・オープンアクセスを巡る状況を概観した上で,現在欧米の大学が,従来型の電子ジャーナル購読と著者支払型のオープンアクセスについてどのように整理し対応しているのかを解説する。次に,日本の大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)における,国内研究者の論文公表実態調査を中心とした取り組みについて報告し,最後に今後の展望に関しても言及する。
著者
小野 めぐみ 金廣 康子 清水 浩子 安藤 美紀 島貫 裕美子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.118, pp.2118, 2021-08-31 (Released:2021-09-07)

明治薬科大学図書館では,キャンパス統合を機に多くの重複図書(複本)が所蔵され,書架圧迫の要因となっていた。排架スペースの不足が深刻化する中で2017年10月の台風21号による浸水被害が決定打となり,翌2018年,複本の大量除籍に着手した。3年で8,000冊を超える図書の除籍を目指す取り組みについて,1年目の様子を中心に,複本の抽出,除籍候補の選別,除架後の書架整理といった作業工程の詳細を紹介する。
著者
永山 賀子 今野 創祐 逸村 裕
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.124, pp.2154, 2023-09-30 (Released:2023-10-24)

国立大学図書館における除籍の現状を規程や課題,再活用方法から明らかにし,今後必要な方策を検討するため,Webサイト分析と質問紙調査を行った。その結果,館によって規程の充実度に差があること,現場での課題は書架スペースの確保,業務上の負担等であることなどが明らかになった。今後詳細な公開規程を備えていくことと,全国的なシェアード・プリントを提案する。業務上の負担が大きいという館が多い以上,すぐに取り組むことは難しいだろうが,現状を改善するため少しずつ検討を進めていく必要がある。