- 著者
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水引 貴子
- 出版者
- 学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
- 雑誌
- 敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.1, pp.81-90, 2018
<p> 本研究は、イギリスで19世紀末から子ども向けコンサートを永続的に開催してきたロバート・メイヤーの音楽啓蒙的取り組みに着目し、歴史的に子どもとクラシック音楽がどのようなかかわりをしてきたのか明らかにすることを試みた。</p><p> 彼のコンサートの特徴は、①子ども相手であっても一流の出演者と解説者を用意したこと、②彼らの多くはイギリス人であり、プログラムにはイギリス人の作品が含まれていること、③わずかではあるが入場料を徴収することである。その目的は、イギリス音楽(教育)界を取り巻く状況の改善のためと、他の国からもたらされた音楽後進国というイメージを払しょくするための聴衆育成であった。</p><p> また、ロバートは後に若い音楽家の支援団体「Youth & Music」も立ち上げる。19世紀の強制的な神童養成とは異なり、本人の意思を尊重しながら音楽的才能を伸ばす方法を採用した。</p>