著者
窪田 康平 筒井 義郎
出版者
日本ファイナンス学会 MPTフォーラム
雑誌
現代ファイナンス
巻号頁・発行日
vol.25, pp.23-51, 2009

<p>本論文の目的は,業界団体が実施したアンケート調査を用いて,日本の消費者金融市場の競争度を計測することである.まず,費用関数を推定し,大きな規模の経済性を確認した.市場の競争度については,ラーナー指数,市場均衡タイプ,結託度,H統計量を推計し,どの方法によっても,消費者金融市場が独占的であることを明らかにした.また,金利競争も店舗展開を通じた数量競争も行われていないことを確認した.さらに,消費者金融市場が独占的となる理由を分析し,新規顧客の市場においては,情報の非対称性,上限金利規制,借り手の双曲割引によって特徴づけられ,このことが市場を独占的にしていることを指摘した.一方,既存顧客市場においては,貸し手を変更することに伴うスイッチングコストが市場を独占的にしている可能性を明らかにした.これらの結果は消費者金融業の競争政策を議論する上で重要な知見である.</p>

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