著者
筒井 義郎
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-14, 2019-01-18 (Released:2019-01-19)
参考文献数
76

本稿は,結婚が幸福度に及ぼす影響に関連する研究をサーベイし,以下のような結果を報告する.結婚している人はしていない人より幸福である.結婚と幸福の因果関係については,両方向の関係が確認されている.一般に幸福感にはベースラインがあり,結婚というライフイベントについても,いったん上がった幸福感は速やかに下がっていくことが確認されている.しかし,順応が完全であるかどうかについては論争があり,決着していない.なぜ人は結婚するのか,どのようなカップルが結婚し幸せになるのかについて,Becker (1973) は家庭内生産というモデルを提示して,家庭内分業が効率的であり,それでも多くの特質については似たもの夫婦が効率的であることを示した.後者は選択配偶仮説として,心理学や社会学の分野で精力的に研究されており,価値観や性格が似たものが結婚し,幸福であるという結果を報告している.
著者
筒井 義郎
出版者
名古屋市立大学
雑誌
オイコノミカ (ISSN:03891364)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-34, 1986
著者
山根 智沙子 山根 承子 筒井 義郎
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-26, 2008 (Released:2011-12-03)
参考文献数
31
被引用文献数
5

本稿は,地域間格差を測るには,所得よりも住民の幸福度を用いるべきであると主張し,大阪大学21世紀COEが2003年度∼2006年度に実施したアンケート調査を用いて,所得と幸福度による地域間格差を分析した.まず,県の平均値の多重比較,ジニ係数,県ダミー変数への回帰という3つの方法によって,幸福度の格差は所得の格差より小さいことを見出した.次に,回帰分析によって,性別,年齢をはじめとする個人属性,並びに所得のうち個人属性に由来する部分を調整した場合,県別での幸福度の差はほとんど解消することを見出した.2003年∼2006年に,所得の全国平均値は増大する一方,所得格差は拡大したこと,幸福度の全国平均値は低下したが,幸福度の格差は拡大していないことを示した.
著者
窪田 康平 筒井 義郎
出版者
日本ファイナンス学会 MPTフォーラム
雑誌
現代ファイナンス
巻号頁・発行日
vol.25, pp.23-51, 2009

<p>本論文の目的は,業界団体が実施したアンケート調査を用いて,日本の消費者金融市場の競争度を計測することである.まず,費用関数を推定し,大きな規模の経済性を確認した.市場の競争度については,ラーナー指数,市場均衡タイプ,結託度,H統計量を推計し,どの方法によっても,消費者金融市場が独占的であることを明らかにした.また,金利競争も店舗展開を通じた数量競争も行われていないことを確認した.さらに,消費者金融市場が独占的となる理由を分析し,新規顧客の市場においては,情報の非対称性,上限金利規制,借り手の双曲割引によって特徴づけられ,このことが市場を独占的にしていることを指摘した.一方,既存顧客市場においては,貸し手を変更することに伴うスイッチングコストが市場を独占的にしている可能性を明らかにした.これらの結果は消費者金融業の競争政策を議論する上で重要な知見である.</p>
著者
筒井 義郎
出版者
岩波書店
雑誌
経済研究 (ISSN:00229733)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.p376-379, 1993-10
著者
井沢 裕司 筒井 義郎
出版者
岩波書店
雑誌
経済研究 (ISSN:00229733)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.p139-147, 1983-04
著者
高阪 勇毅 Mardyla Grzegorz 竹中 慎二 筒井 義郎
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学
巻号頁・発行日
vol.5, pp.189-192, 2012

本論文は,気質効果の存在とその原因を経済実験によって調べた.本論文の特徴は次の3つである.第1に,現実の株式市場に似た取引環境を構築し,経済実験の環境下で現実の取引行動に近いデータを取得し,分析したことである.第2に,被験者の参照価格をアンケート調査から特定し,気質効果の存在を単独で検証していることである.第3に,損失局面と利得局面における各危険回避度を計測し,プロスペクト理論における損失回避が気質効果の原因の一つであることを検証したことである.
著者
山根 智沙子 山根 承子 筒井 義郎
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学
巻号頁・発行日
vol.2, pp.145-148, 2009

本稿は,大阪大学21世紀COEが実施したアンケート調査を用いて,所得と幸福度による地域間格差を分析した.まず,幸福度の格差は所得の格差より小さいことを見出した.次に,個人属性に由来する部分を調整した場合,県別での幸福度の差はほとんど解消することを見出した.また時系列でみると,所得格差は拡大したが,幸福度の格差は拡大していないことを示した.
著者
筒井 義郎
出版者
JAPANESE ECONOMIC ASSOCIATION
雑誌
季刊 理論経済学 (ISSN:0557109X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.38-54, 1982

The purpose of this paper is to make clear whether the bank loan market in Japan is in equilibrium or not. There have been three papers on the issue, Hamada et al. [7], Furukawa [6] and Kamae [15]. They are contradicted with each other so that the definite conclusion has not yet been reached. Hamada et al. [8] explains that the difference in conclusion comes from the difference in observation period. The present paper re-examines their estimation to show that the explanation is not correct. The re-examination indicates that their supposed supply functions have multicollinearity, causing the contradiction.<br>In addition, those papers are found to have following weak points:<br>(a) They say that excess supply periods were longer than excess demand periods in 1960's and early 70's. However, the opposite view is commonly accepted.<br>(b) Whether the market is in equilibrium or not is judged in those three papers by the sign condition of estimated parameters. But this method fails to give a definite answer in many cases.<br>The present paper suggests more appropriate way of analysis as follows:<br>(A) Using three indices, an adequate sample separation can be found consistent with the popular view.<br>(B) Chow Test [2] is applied to judge whether the market is in equilibrium or not. This method enables us to judge in any case and to assess the degree of disequilibrium quantitatively.<br>With these modifications, the present paper concludes that the Japanese bank loan market is in disequilibrium whichever adjustment it has, the effective interest rate or the nominal interest rate.<br>Futhermore, the excess demand for the bank loan and the equilibrium interest rate are estimated quantitatively, describing the market condition fairly well.
著者
筒井 義郎
出版者
信金中央金庫
雑誌
信金中金月報 (ISSN:13469479)
巻号頁・発行日
vol.3, no.9, pp.2-22, 2004-08
著者
大西 修平 山川 卓 赤嶺 達郎 筒井 義郎 山根 承子
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.720-727, 2018

<p> 漁業者行動は通常,合理性に基づいてモデル化される。一方,個々の漁業者は不確実性下で異なるリスク態度をとる事実も知られる。不確実性下の意思決定の観察結果は,期待効用仮説による説明としばしば異なる。過度に単純化された漁業者行動モデルは,漁業管理方策への適用にあたり注意が必要であろう。行動経済学の研究成果は,意思決定の合理性の破れがプロスペクト理論で説明できることを示したが,理論の有用性は漁業管理研究では十分に知られていない。本研究ではプロスペクト理論の可能性を概観し,漁業者の様々な性向を探究する。</p>
著者
筒井 義郎
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-14, 2019

<p>本稿は,結婚が幸福度に及ぼす影響に関連する研究をサーベイし,以下のような結果を報告する.結婚している人はしていない人より幸福である.結婚と幸福の因果関係については,両方向の関係が確認されている.一般に幸福感にはベースラインがあり,結婚というライフイベントについても,いったん上がった幸福感は速やかに下がっていくことが確認されている.しかし,順応が完全であるかどうかについては論争があり,決着していない.なぜ人は結婚するのか,どのようなカップルが結婚し幸せになるのかについて,Becker (1973) は家庭内生産というモデルを提示して,家庭内分業が効率的であり,それでも多くの特質については似たもの夫婦が効率的であることを示した.後者は選択配偶仮説として,心理学や社会学の分野で精力的に研究されており,価値観や性格が似たものが結婚し,幸福であるという結果を報告している.</p>