- 著者
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星野 高徳
- 出版者
- 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
- 雑誌
- 廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
- 巻号頁・発行日
- vol.29, 2018
本研究の課題は、屎尿処理を改善する際に重要な論点になった肥料問題と衛生問題に注目し、行政や公衆衛生の研究者が、肥料の確保を重視する農村と衛生面の改善を重視する都市の双方にいかに配慮したのかを検討することにより、戦後日本における屎尿処理の特徴を明らかにすることである。<br>戦後になると、大都市を中心に下水道の建設が推進されることになったが、人口に対する普及率は低く、都市の屎尿処理は依然として農村還元処分や海洋投棄に依存せざるを得なかった。公共下水道の整備には多額の費用を要することから、戦後の日本では、農村部で厚生省式改良便所と糞尿分離式改良便所を使用した農村還元処分の継続が模索され、都市部では浄化槽による下水処理化が目指された。しかし、いずれも財政面、衛生面の限界を抱えていたことから、急速には普及せず、海洋投棄などの非衛生的な処理が残存することになったのである。