著者
星野 高徳
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

本研究の課題は、東京市、大阪市をはじめとした他の都市に先立って屎尿処理市営化が推進された戦前期名古屋市における市営化政策の転換過程を検討することにより、同市がいかに市営化の際に直面した衛生問題と財政問題の双方の解決を図ったのかを明らかにすることである。<br>&nbsp; 1930年代の名古屋市では、衛生的で効率的な屎尿処理を実現するため、下水処理化、水洗便所化を推進した。ただし、市民が工事に必要な費用を負担することは困難であったため、名古屋市は屎尿流注所を建設することにより、可能な範囲で下水処理化、屎尿処分費の削減を実現した。しかし、屎尿流注所による処理には、技術面、財政面の問題が残されていたため、そうした問題に対処するため、肥料不足を背景として増大した近隣農村の屎尿需要に注目し、愛知県や愛知県農会と協力して屎尿の供給先の確保、農村還元処分の継続を図った。
著者
坪井 俊貴 田村 典敏 野村 幸治 石田 泰之 樋口 壯太郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

廃棄物処理処分に伴い排出される副生塩は、有効な処理処分方法あるいは資源化の方法がなく、最終処分場で保管または廃棄物として処理されているのが現状である。このような背景下で副生塩のリサイクル方法の一つとして、道路凍結防止剤や除草剤がある。この中で電気分解により次亜塩素酸ナトリウムを生成し、滅菌剤として利用する方法が実用化され始めた。副生塩には塩素とカリウムが含まれ、電気分解にかけると次亜塩素酸ナトリウムに次亜塩素酸カリウムが混在し、通常のソーダ工業の製品として流通できない。しかし、カリウムが含有されていても滅菌効果には支障がないため純正の次亜塩素酸ナトリウムに対してエコ次亜と呼称している。今回、放射能に汚染された焼却飛灰を水洗除染し、排水中の放射性セシウムを吸着剤により除去した後、イオン交換樹脂を用いて高濃度カルシウムを低減化した洗浄排水を用いて、エコ次亜生成実験及び自己酸化実験を行った。
著者
盧 現軍 松本 亨 高 頴楠
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.20-20, 2010

中国の経済発展と所得水準の向上に伴い携帯電話の買換えサイクルは短くなっており、全国平均で2年、大都市の北京、上海などでは18か月しかないようだ。そのため、毎年、大量の使用済み携帯電話が発生している。資源節約や環境保護のため、中国では使用済み携帯電話の回収・リサイクルに対して、今後関心が高くなると思われる。本研究では、中国の使用済み携帯電話のフローを明らかにし、それを元に、フローに関わる制度・参画者の日中比較を行うことで、これまでの両国の経験を参考にする部分が存在するのか否かについて考察を加えることを目的とする
著者
山川 肇 佐藤 真行 杉浦 淳吉 福岡 雅子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.2-2, 2010

本稿では、販売包装に関する小売事業者の2Rの取り組みとして肉の袋入り販売を取り上げ、その先進事例の実態と容器包装の発生抑制効果について考察した。その結果、1)袋売りの対象となる肉はさまざまであり、袋の種類も事業者により違いがある、2)手間の増加があるという店舗もあったが大きな問題となっておらず、一方、コスト減や顧客増のメリットも見られる、3)鶏・モモ肉の場合、袋入りの売上割合は15~30%であり、すでに一定程度、消費者に受容されている、4)買うことはあるが毎回は購入しない主な理由は、安売りのときだけ買う、まとめ買いのときのみ買う、売り切れが多い、などであることがわかった。また5)今回の測定サンプルでは、真空パックを除き、袋包装の包装資材重量は2g前後、トレイ包装では6g前後となり、さらにごみ処理される包装ごみの削減率を試算したところ、1パックあたり6~52%となった。
著者
高橋 潤 穂積 篤史 加納 睦也 藏本 悟 森 雅裕 小島 孝信
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.23-23, 2010

廃棄物処理法上では産業廃棄物の処理については、住民反対等による処理施設の立地困難な状況から、広域処理体制が敷かれているものの、不法投棄等の原因が県外廃棄物であることの影響により、各自治体が県内に流入してくる廃棄物の規制を取っている。そのため、当会では各自治体の流入指導状況を調査し、現状の課題を抽出提案した。
著者
孟 祥鳳
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.68-68, 2010

容器包装リサイクル法の施行以降、日本から中国への廃ペットボトルの大量流出が、日本国内のリサイクル市場に及ぼす影響は多々論じられてきたが、これに対応する中国の経済事情に関する分析は少ない。本稿では、過去約20年間の中国のプラスチック需要や石油価格等の経済状況の変化と、ペットボトルを含む廃プラスチックの日中間流動の変化を対応付けて分析するとともに、今後の推移についても考察を加える。
著者
鈴木 保菜実 秋月 真一 城尾 弘美 小山 光彦 フェルナンデス ポランコ フェルナンド ムニョス トーレ ラウル 戸田 龍樹
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

近年、各地の湖沼域で水草が過剰繁茂し、その適切な処理法の確立が課題となっている。メタン発酵は、高含水系バイオマスからエネルギー回収可能な技術であり、水草の処理法として有望である。しかし、水草に含まれるリグニンがメタン生成効率を低下させるため、リグニン量の多い水草を対象とした場合は前処理が必要である。水蒸気爆砕は処理時間が短く低コストで実施可能な前処理であり、近年その利用が注目されている。本研究では、琵琶湖に繁茂するセンニンモを異なる条件で水蒸気爆砕処理し、そのメタン生成量を評価した。爆砕処理により加水分解が促進され、メタン生成量が向上した。特に、爆砕強度の指標Severity Factor (SF)値が4.0以上の条件において、加水分解率とメタン生成量が急激に向上した。SF値4.4の条件で最大メタン生成量250 mL g-VS-1を示し、無処理と比較して約2倍の生成量に達した。
著者
柳川 立樹 矢野 順也 浅利 美鈴 平井 康宏 酒井 伸一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.28, 2017

本研究では、食品ロス発生抑制行動による環境及び経済への影響を定量化することを目的とし、事業所における食品フロー推計及び食品ロス抑制による市場影響を評価するためのモデル開発を行った。推計対象事業種はスーパー、レストラン、ホテルとした。また、現状のままである基本シナリオ(S1)と発生抑制行動を実施するシナリオ(S2)を比較することで削減コストを推定した。その結果、コスト削減効果は食品廃棄物削減による影響よりも食品仕入量の削減による影響の方が大きく、温室効果ガス削減効果と同様の傾向を示した。全国へ拡大推計した場合には、市場規模に対してレストランで2.8%(2,202億円/yr)という結果となった。このような推計値は、食品ロス発生抑制による経済的便益を勘案するための指標とできる可能性がある。本モデルの精度向上には、摂食率などの不確実性の高い仮定や抑制行動によるコスト増加影響などの調査が必要である。
著者
辰市 祐久 飯野 成憲 寺嶋 有史 小泉 裕靖
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

大型の処理装置では昨年度の冬季に水温が13℃程度低下して、アナモックス菌を用いた脱窒素反応が停止していた。このため太陽光による加温装置を用いることにより、冬季も20℃程度を維持し、脱窒素反応を進めることができた。また、アナモックス反応のためには硝化後の処理水のNH<sub>4</sub>-N:NO<sub>2</sub>-Nの比率が1:1.3にする必要がある。このため、溶存酸素濃度で水質を制御しようとしていたが、この比率を維持するのが困難であったため、硝化槽でアンモニアをすべて亜硝酸とし、脱窒素槽に浸出水のNH<sub>4</sub>-Nを添加することで、脱窒素反応の調査を進めた。
著者
井出 留美
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

世界の生産量の3分の1にあたる13億トンの食料が毎年廃棄されている。世界には、一日1.25米ドル未満で生活する食料に困窮する人が12億人以上いる。この食品ロスと食料困窮という不均衡を緩和し、エネルギー消費を抑制する方策の一つが、余剰食料を困窮者へ繋げるフードバンク活動である。1967年米国で始まったフードバンクは、日本はじめ世界36カ国以上に拡がっている。食べられるにも関わらず廃棄される食品の、生産量に対する割合は農産物が最も高く、世界のどの地域でも生産量の50%程度を廃棄している。本研究では、国内でのフードバンクの実績が無いフィリピンを対象に、余剰農産物を困窮者に届ける試みをおこない、食品ロスの削減と食料困窮の改善が実現できるか検証した。その結果、フィリピンで廃棄されるはずだった余剰オクラ5.8トンを16の生活困窮者支援施設に44回届け、食品ロスの削減と食料困窮者の貧困緩和を実現できた。
著者
田中 努 西尾 修 川南 吉弘 西田 直史 増井 芽
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.194, 2010

焼成処理は、焼却灰の資源化処理方法として、この5年の間に着実に実績を重ねてきた。しかし、焼成処理は未だ認知度が低く、溶融処理との比較が十分に進んでいない。そこで、焼成処理についての実例を挙げ、溶融処理との比較を行い焼成処理の特徴を検討した。その結果、燃料使用量とCO2排出量は1/4から1/2程度であること、維持管理費を抑制できること、品質維持管理が容易で安定していること、操業上の危険性が低いこと、焼成処理後の焼成砂の販売先が確保されていることなど、溶融処理に対して焼成処理には優れた点が多いことがわかった。
著者
藤原 健史 シティ ノルバイズラ
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.24, 2013

イスカンダールマレーシア (IM) はマレーシア南部のジョホールバル州に計画された特別な地域であり、2005年から2025年までの20年間に人口が2倍の300万人に急成長することが見込まれた開発地域である。この地域の廃棄物処理は最終処分のみであり、将来予想される大量の廃棄物に対して廃棄物マネジメントは持続発展的とは言えない。この地域を温暖化対策都市へと導くために「2025年のIMにおける低炭素社会」の研究が始まり、12のアクションプランの中の1つが我々の取り組む「持続可能な廃棄物マネジメント」である。低炭素社会の条件を満たしつつ循環型社会の形成に向けた廃棄物マネジメントの導入を検討した。具体的には、将来に最終処分場に搬入するごみの半分を減らし、同時に温室効果ガスの排出量を半分に減らすことを目的とした。サブアクションには、都市ごみ、農業ごみ、産業ごみ、下水処理ごみ、そして建設ごみについて考慮した。計算の結果、2000年に比べて2025年にはそれぞれ 65% (13 tCO2/year), 79%(7 tCO2/year), 81%(4<br>tCO2/year), 10%(2 tCO2/year), 69%(0.1 tCO2/year)の低減となった。2025年の高い参加率と分別効果のもとで達成された。
著者
古澤 康夫
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.26, 2015

2015年9月に採択が予定されている国連の持続可能な開発目標は、環境面と貧困撲滅などの開発面を統合した国際目標である。本稿では、持続可能性概念の歴史を20世紀初頭のconservation movementにさかのぼり、この概念が当初から社会的側面を有していたことを論じる。併せて、Gattariが提唱した環境、社会、精神の3つのエコロジーに照らして、現代の持続可能性概念の到達点と展望を考察する。
著者
一瀬 智樹 滑澤 幸司 馬渡 匡之 星野 正彦
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.28, 2017

近年東南アジアではごみ焼却プラントの需要が増加しており,今後アフターサービスの需要増加も予想される。東南アジアにおいては,経済の成熟度が上がるにつれごみ発熱量も上昇し,プラント竣工後,年が経過するとともに処理量が低下することが考えられる。一方,運営業者はごみ処理費を収入源とする場合が多く,処理量の維持が非常に重要となる。そのため,アフターサービスの一つとして処理量増加の需要が高まることが予測される。当社では上記需要により,竣工後20年以上経過したシンガポールのごみ焼却プラントにて処理量増加工事(燃焼室水冷壁Ni基合金肉盛パネル交換及びエコノマイザチューブ追設)を実施した。<br>工事後,性能を確認した結果,本工事前に比べ10%以上の処理量増大を確認できた。工事で交換した燃焼室水冷壁Ni基合金肉盛パネルは,1年間の連続運転後,目視確認にてチューブに損傷が無いことを確認した。
著者
水原 詞治 前背戸 智晴 倉持 秀敏 大迫 政浩
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

除染廃棄物を処理する仮設焼却炉では、焼却飛灰からの放射性Cs溶出率が低いなど、一般廃棄物焼却炉とは異なる傾向が確認されているが、放射性Csの挙動について知見が十分でないため、本研究では除染廃棄物仮設焼却炉の耐火物における放射性Csの溶出特性、除去特性に焦点をあて、放射性Csの挙動評価を行った。その結果、除染廃棄物仮設焼却炉の耐火物は、難溶性Csが蓄積されやすく、結果として放射性Cs溶出率が低く、加熱による揮発除去が起こりにくい傾向が確認された。
著者
李 桐 為田 一雄 樋口 壯太郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.30, 2019

<p>最近の地球温暖化の影響により世界各地で異常気象が多発し、特に昨今のゲリラ豪雨の多発は、過去に記録しない短時間降水量が出現するようになった。このため、過去に計画設計した最終処分場については、既存の浸出水処理施設規模及び浸出水調整池規模では対応が困難となり浸出水管理に支障を来すケースも現れている。このような背景下、地域別に気象台開設以降の降水量を調査し、長期的年降水量変動、日降水量、時間最大降水量等の変動を調査し、現在の浸出水処理システムに与える影響と対策を考察した。今回の検討について、最大年降水量の変動がない地域と減少した地域では、ゲリラ豪雨の原因で調整池規模を超える浸出水が発生する可能性があることが確認できた。</p>
著者
肴倉 宏史 成岡 朋弘
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.28, 2017

筆者らは、有害金属負荷を低減した焼却主灰の土木資材化について検討を行い、含有量の比較的高い落じん灰やボイラー灰等の主灰との混合回避や、エージングにより溶出抑制を図る等の提言を行ってきた<sup>2)</sup>。さらに本報告では、焼却残渣中の有害金属等の由来を探るため、厨芥類や紙・布類といった各可燃物が焼却残渣中の各元素に占める寄与率の推定を試みた。その結果、可燃物の灰化物の元素組成は調査対象施設で採取した全ての焼却残渣から求めた元素組成と良い相関が得られた。有害金属の由来として、Pbはビニール・樹脂類が68%、Cdは木・竹・わら類とゴム・皮革類がそれぞれ38%、29%を占める等の結果となった。
著者
小出 秀雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.13, 2011

使用済みの財をごみとして排出する際に減量する消費者と、そのごみを引き取って適正処理(あるいは再資源化)する生産者の経済理論モデルの一例を示し、引取料金の符号に関わらず連続する需給曲線を導出する。そして、バッズをグッズ化する方向性の要因を3つ挙げ、それぞれの性質を分析する。
著者
松井 康弘 足立 裕紀
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

循環型社会の構築に向け、Recycleに関する法制度・システムの整備が進む中、本来優先すべきReduce/Reuseの2Rの取り組みが立ち遅れているのが現状である。また、先行研究において、20-40代の若年層・学生等の分別参加率が相対的に低いことが明らかとなっており、2R・若年層の普及啓発が課題となっている。本研究では、主に若年層が参加する岡山市の飲み歩きイベント「ハレノミーノnishigawa」、「有機生活マーケットいち」と連携して3R体験イベント「食べきりーの飲みきりーので、はじまるオニ退治」を開催し、参加者に対する3Rの普及啓発を図ることとした。また、参加者に対してアンケート調査を実施し、3Rに対する認知・参加・今後の意向等の実態を調査したので結果を報告する。
著者
巽 正志 西田 憲一 岩出 義人 谷口 初美 福田 和正 古市 徹 秋永 克三 吉岡 理 大熊 和行
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.268, 2010

三重県桑名市の不法投棄現場は有機溶剤系の廃棄物が多く投棄されており、それらVOCを含む汚染地下水が周辺に拡散したサイトである。そのサイトでは、2002年度から遮水壁による汚染物質の囲い込みおよび揚水循環浄化法により環境修復事業を実施している。その経過については既に本学会で発表した。今回は、高濃度汚染除去後に微生物分解による減衰を低濃度汚染残留地の浄化に採用するため、三重県では微生物叢によるモニタリング方法、および微生物分解によるVOC汚染浄化の調査研究を行っており、これまで行った試験結果について報告する。 クローンライブラリー法により汚染サイトの土壌等の菌叢調査を実施した。VOC含量の高い土壌中ではAciobacter sp.の存在比が高かった。また、現場地下水にVOCを添加した系でベンゼン、トルエンの微生物分解試験を行った結果、約50時間で分解された。