- 著者
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鈴木 良
- 出版者
- 一般社団法人 日本社会福祉学会
- 雑誌
- 社会福祉学 (ISSN:09110232)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.4, pp.16-29, 2019
<p>本研究は,知的障害者入所施設の解体を実施した法人Aを取り上げ,職員が1)施設解体を実施したのはなぜなのか,2)小規模分散型の地域生活への移行を目指した計画を修正したのはなぜなのかを質的調査によって明らかにした.この結果,第一に,施設解体を実施したのはまず,「無力化による受容の重視」と「虐待構造への自覚」によって,職員・入居者間の上下関係を可能な限り解消することを目指したからであった.次に,施設内改革や地域移行を実施しても職員・入居者間に生じる上下関係は解消しえないという構造的限界を認識したからであった.第二に,計画を修正したのはまず,補助金や法人運営の観点から町との協力関係を重視したからであった.次に,施設解体を実現させることが重視され,残る施設の解体を視野に入れて,地域に出ることを優先する意識があったからである.本研究は外発的政策誘導と内発的意識改革による脱施設化政策の必要性を示唆する.</p>