著者
川瀬 貴博 古瀬 充宏
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-13, 2019

<p><tt>腸内細菌叢は、迷走神経刺激、免疫系あるいはホルモン分泌を介して、宿主の脳機能を変化させて行動を調節する。近年、我々は腸内細菌が宿主脳内における遊離アミノ酸濃度にも影響を及ぼすことを報告した。乳酸菌の機能性に関する報告が増す一方で、学習能力に対する役割は不明である。加齢に伴う認知機能不全は、ヒト、イヌまたネコにおいても問題視されている。本研究では、</tt><i>Lactobacillus delbrueckii </i><tt>subsp. </tt><i>bulgaricus 2038</i><tt> 及び </tt><i>Streptococcus thermophilus 1131</i><tt> 乳酸菌株を利用したヨーグルトの長期投与が、マウスの空間記憶や大脳皮質における遊離アミノ酸及びモノアミン濃度に及ぼす影響を調査した。その結果、ヨーグルトの長期投与が8方向放射迷路試験における空間参照記憶のスコアを改善し、大脳皮質中のセロトニン、L-アラニン、D-およびL-セリン、L-バリン、L-イソロイシン濃度を増加させた。以上より、ヨーグルトを長期摂取することで、大脳皮質における数種のアミノ酸やセロトニンの代謝が変化し、マウスの</tt><tt>空間参照記憶が改善し得る可能性が推察された。</tt></p>

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