著者
河野 龍也
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.162-177, 2018

<p>佐藤春夫がデビュー前に油絵制作に励んでいたことは、その後の文学活動にどのような影響を残したのか。春夫が好んだ「後期印象派」は、本来客観的であるべき写実の概念を、主観の領域にまで拡大したもので、それによって生じた混乱をテーマに春夫は最初の小説「円光」を書いた。また「田園の憂鬱」にも、対象の〈意志〉を描くという「後期印象派」理論の過剰な視覚表現が見られ、それが文学的感性との間に葛藤を生み出す構造を指摘することができる。芸術ジャンルごとに異なる感性の相違は、その後の春夫が創作で追求する一貫したテーマであり、その由来はデビュー期の絵画体験にあったと考えられる。</p>

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こんな論文どうですか? 画家の眼をした詩人の肖像:――佐藤春夫「田園の憂鬱」論――(河野 龍也),2018 https://t.co/o2mr0zy3DU <p>佐藤春夫がデビュー前に油絵制作に励んでいたことは、その後の文学活動にどのような影響を残…

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