著者
高 橋 一 生
出版者
日本共生科学会
雑誌
共生科学 (ISSN:21851638)
巻号頁・発行日
vol.6, no.6, pp.1-12, 2015

国際社会が権力政治化してきた。その主たる原因は新興国中国が米国に挑戦しているからであ る。近代国際社会においては、覇権国に対して政治体制の異なる新興国が挑戦すると、すべて世 界戦争になってきた。戦争を食い止めるために勢力均衡や相互確証破壊システムなどが試されて きたが、現在は中国の核能力が米国に対して相互確証破壊能力を築くことからはほど遠い状況に ある。勢力均衡は永続的な平和の維持を保証できないことが歴史上確認されている。他方20世紀の教訓として多国間システムが良く機能している場合には平和の持続性が確保され る、ということが明確になった。危険極まりない現状に対する対応は勢力均衡に努めるだけでな く、より根本的な対応としては多国間主義を強化することである。特に地球温暖化および開発協 力という 2 大分野でその必要性と可能性が高まりつつある。この二つの分野で多国間主義を強化 する鍵を実は日本が握っている。

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