- 著者
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大谷 修
- 出版者
- 学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
- 雑誌
- 敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, no.1, pp.1-7, 2019
<p>消毒や漂白のために用いられる塩素系製剤はしばしば健康被害をもたらす。塩素系製剤である次亜塩素酸ナトリウム(ハイター)は水溶液中で加水分解して次亜塩素酸を生じる。この次亜塩素酸が殺菌効果を発揮する。 次亜塩素酸は排水管などの金属を腐食させる。次亜塩素酸ナトリウムはトイレ掃除に使う塩酸や酸性洗剤と反応して有毒な塩素ガスを生じる。塩素ガスを吸引すると、肺水腫などの重篤な呼吸器障害を生じる。レジオネラ感染を予防する目的で温泉水に次亜塩素酸ナトリウムを加えても窒素化合物と反応してクロラミンを生じるので殺菌効果が小さい。塩素処理したスイミングプールにおいても喘息等を発症するリスクが高まり、アレルギー疾患を増悪する。急性胃腸炎を起こすノロウイルス感染を防ぐには、牡蠣などの生食を避けること、感染者に調理や給仕をさせないこと、およびトイレ、ドアノブ、手すり、壁面スイッチなどを適切な濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を含んだペーパータオルで拭くことが重要である。吐物や便は、まず拭き取ってから、床面を次亜塩 素酸ナトリウム水溶液を含んだペーパータオルで拭く。次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスプレー等で噴射するのは次亜塩素酸を含んだエアロゾルを吸引するので健康被害をもたらす恐れがあり危険である。感染防止で最も重要なのは手指衛生を保つことである。ノロウイルスはアルコール抵抗性を示すので、頻回に石鹸と流水で少なくとも20秒間手を洗うことが重要である。</p>