- 著者
-
村田 ひろ子
- 出版者
- NHK放送文化研究所
- 雑誌
- 放送研究と調査 (ISSN:02880008)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.7, pp.90-101, 2019
NHK放送文化研究所が加盟する国際比較調査グループ、ISSPが2016年に実施した調査「政府の役割」の結果から、35の国・地域を比較し、日本人の政府への期待が、世界各国との比較においてどのように位置づけられるのかを報告する。「政府の責任」だと考えられている施策については、「失業者がそれなりの生活水準を維持できるようにすること」と回答した日本人が53%、「収入の少ない家庭の大学生に経済的な援助を与えること」と回答した日本人が67%で、いずれも各国の中で低い水準である。一方、「物価の安定」については9割近くに上り、各国の中では上位3分の1くらいに位置している。日本では各国と比べて、政府に対して経済面での期待が他の分野よりも大きい傾向がある。政府の支出に対する意識については、高齢者の年金を「今より増やすべき」と答えた日本人は46%となっていて、各国と比べて少ない。「防衛・軍事」については、日本を含む多くの国で「今より増やすべき」が増加していた。社会の安全を揺るがすテロ事件が世界各国で頻発するなか、テロ行為が起こる可能性がある場合に、警察が電話の会話を盗聴することの許容度についても尋ねた。日本で盗聴が「許される」という人は、2006年調査の47%から59%へ増えたほか、イスラム過激派によるテロが相次いだフランスでは77%から91%に増えていた。